ジャワガムラン
中部ジャワの宮廷で発達した青銅打楽器合奏。緩慢で瞑想的。
どんな音か
鍵盤状に並んだ青銅の金属板(サロン)、つり下げた青銅のゴング群、太鼓(クンダン)、竹製の笛(スリン)、擦弦楽器(ルバーブ)などが重なる合奏音楽だ。テンポは非常に遅く、ひとつの楽節が数分かけてゆっくり展開する。金属の音が重なると、倍音同士が干渉してゆらゆらと揺れる独特のうなりが生じる。これはガムランの楽器が意図的に微妙にずらしてチューニングされているためで、「うなり」そのものが音楽の一部とみなされる。全体の音像は厚くて重く、どこかに沈み込むような感触がある。
生まれた背景
聴きどころ
大ゴング(グン)が鳴るタイミングに注目する。ガムランは大ゴングが一定間隔で鳴ることで楽曲の「区切り」が示される循環構造を持っている。その間に他の楽器が速さの異なるパターンを重ねるため、全体がひとつの立体的な時計のように動く。最初はグンの音だけを追いながら、そこから逆算して他の楽器のリズムを聴くと構造が見えてくる。
発展
20世紀には王宮のガムランが学校教育に取り入れられ、芸術院ISI(インドネシア芸術大学)が継承を担った。カイ・ナルトサブドの新作創作、ローシン・ハリソンら欧米作曲家の探求、海外大学(UCLA・京都市芸大など)の常設ガムラン教育で世界に広まった。
出来事
- 9世紀: ボロブドゥール・レリーフにガムラン描写。
- 1755年: ジョグジャカルタ・スラカルタ分裂で宮廷様式分化。
- 1889年: パリ万博でドビュッシーが初聴。
- 1971年: 京都市芸大ガムラン教育開始。
- 2021年: ガムランがユネスコ無形文化遺産代表一覧表に登録。
派生・影響
バリ・スンダのガムラン諸様式、現代インドネシア音楽創作、欧米現代音楽(ドビュッシー・ローシン・ハリソン・スティーヴ・ライヒ)に深く影響を与えた。
音楽的特徴
楽器サロン・デムン・ボナン・ゲンダー・グンボン・ケンダン・スリン・ルバーブ・ゲロン・シンデン
リズムコロトミック構造、ペロッグ・スレンドロ音律、緩〜急の段階展開
代表アーティスト
- Ki Manteb Soedharsono
代表曲
Ladrang Wilujeng — Ki Manteb Soedharsono (1990)
日本との関係
初めて聴くなら
キ・マンテブ・スダルソノの『Ladrang Wilujeng』(1990年)は中程度のテンポで、ガムランの構造を追いやすい。音量を少し上げて、部屋に音を広げながら聴くと金属の倍音のうなりが聴こえてくる。
