ワヤン音楽
ジャワ・バリの影絵芝居の伴奏音楽。ガムランの中核機能。
どんな音か
生まれた背景
聴きどころ
ゴングが鳴るタイミングを追うことで、音楽の大きな周期(コロトミー)が把握できる。小さい拍節のクノン、大きい拍節のグン、最大の節目のグン・アグン(大ゴング)の順で音が大きくなり、それが何周もサイクルする。戦闘場面では打楽器のテンポが上がり、瞑想場面では緩くなる——という場面転換を感じ取るだけで、ガムランが語りを支える仕組みが体感できる。
発展
20世紀にはダラン(語り手)が芸術家として地位を確立し、Ki Nartosabdho(1925–1985)・Ki Manteb Soedharsono ら巨匠が出現した。現代はテレビ・YouTubeで子供向けの短時間版も普及している。
出来事
- 9世紀: ヴァヤン関連の最古文献。
- 1973年: 国営TVRI番組で全国普及。
- 1985年: Ki Nartosabdho死去で巨匠時代の終焉。
- 2003年: ユネスコ「人類の口承及び無形遺産の傑作」宣言。
- 2008年: ユネスコ無形文化遺産代表一覧表に登録。
派生・影響
現代インドネシア演劇・コミック・アニメ素材、ヴァヤン・ワヒュ(キリスト教題材ヴァヤン)など創作展開、世界各地のシャドウ・パペット文化との比較対象。
音楽的特徴
楽器ガムラン全編成、ダラン(操師)の声、シンデン
リズム場面ごとの定型パトゥト(旋律型)、長時間の連続演奏、ダランと楽団の即時的応答
代表アーティスト
- Ki Manteb Soedharsono
代表曲
Wayang Mahabharata — Ki Manteb Soedharsono (2000)
日本との関係
初めて聴くなら
Ki Manteb Soedharsono の「Wayang Mahabharata」(2000年)から場面を数十分聴いてみるのが最初の接触として最良。全上演は非常に長いため、戦闘場面と静かな場面を比較するつもりで抜粋を選ぶとよい。できれば映像とあわせて観ると、音楽と人形の動きの連動がはっきりわかる。
豆知識
ジャワでは伝統的にワヤン上演は日没から夜明けまでの9時間以上続き、深夜を境に物語の転換点が来る構成になっていた。現代では4〜5時間に短縮された上演が増えているが、農村部の祭礼では今も一夜通しの上演が行われる。ダランは演奏・語り・演技・演出のすべてを一人で担う存在で、伝統的な修練は12年以上かかるとされる。
