古典

バリガムラン

Balinese Gamelan

バリ島 / インドネシア / 東南アジア · 1300年〜

別名: Gong Kebyar

バリ島の鋭く激しい青銅打楽器合奏。儀礼と芸術の中核。

どんな音か

バリ島の青銅製打楽器合奏。楽器は、様々なサイズと音高を持つボング(鋲付き鑼)で構成され、複数の奏者が異なるオスティナート(繰り返しパターン)を同時に演奏する。音響は輝く、時に耳を刺すような鮮烈さを持ち、リズムは複雑で、西洋の拍子感とは異なる『サイクル的時間』に基づく。テンポは速く、アンサンブルのグルーヴ感は、ロック音楽の『ノリ』に比較可能。儀礼と娯楽の両立が特徴で、同じ音楽編成が祭りでも、舞踊伴奏でも、冠婚葬祭でも使用される。

生まれた背景

バリ島では、少なくとも13世紀から、ガムランを用いた音楽実践が存在したと推定される。ヒンドゥー教文化の影響を強く受けており、音楽は宗教儀礼と一体化している。オランダ統治下(19世紀から20世紀半ば)では、伝統保存の圧力もあり、複雑な音楽体系がほぼ維持された。戦後のインドネシア独立後、バリガムランは『民族音楽の宝』として、政府的保護を受けた。20世紀後半から、西洋の実験音楽家(アメリコーからアルヴィン・ルシェル等)によって、グローバル化が進んだ。

聴きどころ

I Nyoman Wenten の『Gending Sekar Jepun』では、複数の音高を持つボングが、見事に同期し、一つのハーモニック・サウンドスケープを作る。個別の楽器の音は消え、『総体としての音響』が前景に出る。リズムの複雑さは、初見では『混沌』に聴こえるが、数分の聴取で規則性が浮かび上がる経験が価値。

発展

1915年頃に北部バリで誕生したゴング・クビャル様式が爆発的に流行し、20世紀バリ音楽の代表となった。コラック・スター(1928年)・I・ニョマン・ワトラ・I・ワヤン・ロトリンらが革新を進め、戦後はI・ワヤン・サディアら作曲家が新作を作り続けている。

出来事

  • 13世紀: マジャパヒト文化のバリ伝来。
  • 1915年: ゴング・クビャル様式誕生。
  • 1928年: コラック・スター録音。
  • 1971年: バリ国立芸術アカデミー設立。
  • 2015年: 9つのバリ舞踊がユネスコ無形文化遺産登録。

派生・影響

ケチャ(影絵芝居の合唱)・ジョゲッ・ブンブン(竹筒ガムラン)、世界の現代作曲家(ベンジャミン・ブリテンら)の作品に影響を与えた。

音楽的特徴

楽器ゴング・クビャル、レヨン、ガンサ、ジェゴグン、クンダン、スリン

リズムコテカン(交差リズム)、急激なテンポ変化、ペロッグ・スレンドロ音律

代表アーティスト

  • I Wayan Lotringインドネシア · 1920年〜1983
  • I Nyoman Wentenインドネシア · 1965年〜

代表曲

日本との関係

東南アジア音楽への一般的関心の中で、バリガムランは比較的認知度がある。ワールドミュージック・ブームや、東洋哲学への関心層によって、一定の認識がある。ただし、表面的な『エキゾチック・サウンド』としての消費にとどまることが多い。

初めて聴くなら

I Wayan Lotringの作品、またはI Nyoman Wenten の『Gending Sekar Jepun』。複雑さの中にも、打楽器特有の快感を感じさせる。ドキュメンタリー映像とともに視聴すると、舞踊との関係が理解しやすい。夜間、瞑想的な時間に聴くことを勧める。

豆知識

バリガムランのリズムは『サイクル』という概念に基づき、西洋の『拍』ではなく、より大きな『周期』の中で音楽が編成される。このため、グローバル化した現代でも、ジャズロック奏者との共演は、リズム感覚の『翻訳』をめぐる課題を生じさせている。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図800年代1300年代1930年代バリガムランバリガムランガムランガムランジャワガムランジャワガムランケチャケチャ凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
バリガムランを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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