クリンタン
フィリピン南部・ミンダナオ島のムスリム系民族が奏でる青銅製鍋琴アンサンブル。東南アジア最古の金属打楽器文化のひとつ。
どんな音か
生まれた背景
聴きどころ
クリンタン本体が奏でる短い旋律型(コンポジション)が何周もするうちに少しずつズレていくのを耳で追うと、アンサンブルの構造が見えてくる。大型ゴングが鳴るタイミングは必ずしも等間隔ではない。そのズレが生む「引っ張り感」がこの音楽の醍醐味のひとつ。また金属が重なって鳴る瞬間の倍音のうねりは、録音よりライブや野外演奏で体感すると格別に異なる。
発展
1970年代以降、ダニンドンガン・カラナイ・サンガラ・パラマライ・サンギルらマスターによって舞台化され、ミンダナオ州立大学で教育プログラム化された。米国フィリピン人コミュニティでも盛んで、サンフランシスコ州立大学などで継承される。
出来事
- 中世: 東南アジア島嶼部での青銅打楽器文化の広がり。
- 16世紀: マギンダナオ・スルタン宮廷での発達。
- 1972年: ダニンドンガン・カラナイの舞台化。
- 1989年: フィリピン文化センターでクリンタン全国公演。
- 2000年代: 米フィリピン系コミュニティで継承拡大。
派生・影響
東南アジア青銅打楽器文化(ガムラン・ピンプアット・サインワイン)群との比較対象、米フィリピン系コミュニティの文化アイデンティティの中核。
音楽的特徴
楽器クリンタン(8鍋琴)、アガン、ガンディンガン、ダブダバン、ババンダル
リズムコテカン的交差リズム、独奏即興、東南アジア青銅打楽器音律
代表曲
Maginda Kulintang (1990)
日本との関係
日本国内でのクリンタン演奏コミュニティは非常に少なく、民族音楽研究者や打楽器奏者の一部が知るにとどまる。東南アジアの打楽器音楽を扱う民族音楽学の教科書には登場するが、コンサートや音楽祭で取り上げられることはまれ。
