伝統・民族

フジ

Fuji Music

ラゴス/イバダン / ナイジェリア / 西アフリカ · 1968年〜

別名: Were

ヨルバ・ムスリム社会のラマダン早朝歌ウェレから1960~70年代に発展した、太鼓中心の即興濃厚なナイジェリア大衆音楽。

どんな音か

フジは、ナイジェリアのヨルバ・ムスリム社会から出た太鼓中心の大衆音楽。声は即興的に長く語り、複数の打楽器が細かく絡み、観客への呼びかけや称賛が入る。メロディよりリズムと言葉の勢いが前に出るが、歌い手の節回しには強い個性がある。Sikiru Ayinde Barristerの録音は、儀礼の歌が都市の大衆音楽へ変わる力を伝える。

生まれた背景

ラマダン期間の早朝に人々を起こすウェレの歌から発展し、1960〜70年代にフジとして独立したスタイルになった。ヨルバのイスラム文化、街の祝宴、カセット流通、スター歌手の競争が音楽を押し広げた。King Wasiu Ayinde Marshal Iの時代には、より洗練された都会的なサウンドも入る。

聴きどころ

太鼓の会話と、歌手の即興的な言葉の運びを聴く。拍は複雑だが、低い太鼓の周期をつかむと身体が入る。曲が長いほど、観客を称えたり、社会を語ったりする歌手の場づくりが見えてくる。短いポップ曲よりライブの流れに近い。

発展

アヨンデ・バルディズや故キング・ワシウ・アヨンデ・マーシャル・1がそれぞれ全盛期を築き、20世紀末のフジは40分以上にも及ぶ長尺メドレー、政治家・実業家への即興讃歌、結婚式の必須サウンドへと制度化した。21世紀にはアフロビーツへの素材提供や、サンプリング元としても機能する。

出来事

  • 1968: シキル・アインデ・バリスターが「フジ」を提唱
  • 1972: バリスター初録音
  • 1986: アヨンデ・バルディズ台頭
  • 1990s: 結婚式産業のサウンドトラックとして定着

派生・影響

サカラ、アパラ、ジュジュと並走し、現代アフロビーツやアフロ・スウィングに影響素材を与え、ハイライフ・ヒップホップとの融合曲も多い。

音楽的特徴

楽器サカラ、ベンベ、シェケレ、トーキングドラム、シンセ、声

リズム12/8多層打楽器、強烈な即興語り、賞讃詩オリキ

代表アーティスト

  • Sikiru Ayinde Barristerナイジェリア · 1968年〜2010
  • King Wasiu Ayinde Marshal Iナイジェリア · 1979年〜

代表曲

日本との関係

日本ではアフロビートやジュジュほど知られていないが、ナイジェリア音楽を掘る人には重要なジャンルである。ヨルバ文化、イスラム儀礼、都市ダンス音楽の交点として、単なるアフリカン・パーカッションとは違う語りの濃さを持つ。

初めて聴くなら

入口は「Fuji Garbage — Sikiru Ayinde Barrister (1989)」。フジの太鼓と言葉の勢いが分かる。より現代的なスター性を聴くなら「Talazo — King Wasiu Ayinde Marshal I (1995)」。電化された楽しさは「Fuji レゲエ — Sikiru Ayinde Barrister (1985)」もよい。

豆知識

Fujiという名は日本の富士山と関係があるという説が語られることもあるが、由来には諸説ある。少なくとも音楽としては、ヨルバ・ムスリムの早朝歌と都市の祝宴文化から育ったナイジェリア固有のジャンルである。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1920年代1960年代2000年代フジフジジュジュ音楽ジュジュ音楽アフロビーツアフロビーツ凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
フジを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

ナイジェリア · 1968年前後 (±25年)

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