フレヴォ
ブラジル北東部ペルナンブーコ州レシフェのカーニバルで踊られる、超高速の管楽器駆動ダンス音楽。
まずはここから
ひとことで言うとブラジル北東部ペルナンブーコ州レシフェのカーニバルで踊られる、超高速の管楽器駆動ダンス音楽。
まずはこの曲からAlceu Valença — Frevo Mulher ▶ YouTube
代表的な人Alceu Valença
どんな音か
ブラジル北東部レシフェ(ペルナンブーコ州)のカーニバル音楽。テンポはおよそ1分間に150〜200拍と、ふつうの行進曲のほぼ倍の速さで突っ走る(拍子は2拍子=2/4)。中心になるのはトランペット、サックス、トロンボーン、テューバといったブラスバンド編成で、ここに打楽器(カイシャ=小太鼓、スルド=大太鼓、パンデイロ、そして特徴的なプラトス=シンバル)が加わり、ときにエレキギターやシンセも使われる。フレヴォには大きく3つの形がある。歌のない器楽の「フレヴォ・ジ・ルア(frevo de rua=「街のフレヴォ」)」、独唱が乗る「フレヴォ・カンサォン(=「歌のフレヴォ」)」、そして群衆の合唱が入る「フレヴォ・ジ・ブロコ(=祭の地区組『ブロコ』のフレヴォ)」だ。最後のブロコ型だけはブラスではなく、ギターやカヴァキーニョ、フルートなど弦と木管中心の編成に合唱が乗る、別系統の音である。歌詞ではカーニバルや街の祭り、自分たちの誇りといったテーマが歌われる。リズムは行進曲とサンバの中間にあり、踊り手(パシスタ)は小さな傘(ソンブリーニャ)を手に、躍動感のあるステップ「パッソ」を踊る。
聴きどころ
高音トランペットの鋭い刻みと低音テューバの応答が激しく掛け合う。息継ぎの隙もない速さのなかで、メロディは複雑に動きながらも少しも重くならず、驚くほど軽快に駆け抜ける。各セクションが短く区切られたフレーズを次々と受け渡すため、ひとつの旋律を長く保つことはほとんどない。トロンボーンが語尾にかける滑り(グリッサンド)も、ペルナンブーコ流の聴きどころだ。
初めて聴くなら
まずはカピーバ(Capiba)の「Madeira que cupim não rói」(=白蟻も齧らぬ堅木)。揺るがぬ愛を銘木に喩えた、合唱付きの叙情的なフレヴォ・ジ・ブロコ(歌入りのサブタイプ)で、この音楽の歌物としての顔が分かる。器楽ブラスの疾走を体感するなら、現代ビッグバンドのスポッキ・フレヴォ・オルケストラ『Passo de Anjo』(2008)へ。さらにポップ寄りの音なら、アルセウ・ヴァレンサ『Anunciação』(1983)。この順に聴けば、歌物から器楽の超高速、そしてポップ化までの幅が一度に分かる。ただしこの音楽の本来の姿は、レシフェ・カーニバル(毎年2月)の映像でこそ見えてくる。
代表アーティスト
- Alceu Valença
- Lenine
- Spok Frevo Orquestra
代表曲
- Alceu Valença — Frevo Mulher (1979)
- Alceu Valença — Voltei Recife (1980)
生まれた背景
19世紀末のレシフェのカーニバルで、軍隊行進曲(マルシュやブラジル独自のドブラード)、マシシ(maxixe)、ポルカ、カドリーリャといった舞曲が、労働者階級や元奴隷層の祭の行列(コルドン)のなかで融合して成立した。当初は彼らの祭のための音楽だったが、やがてレシフェ全市のカーニバルの顔になった。
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音楽的特徴の詳細
楽器クラリネット、サックス、トロンボーン、トランペット、スネア、ベース
リズム超高速2/4軍楽隊行進、傘踊り、曲芸ステップ
発展
1907年に「フレヴォ」名称が確立し、20世紀後半のレヴィノ・フェレイラ、フォロ・デ・スペシャイス、スペック・ジ・フレヴォが世代を作った。2012年にユネスコ無形文化遺産登録。
出来事
- 1907: 「フレヴォ」名称確立
- 1930: 商業録音化
- 1985: ペルナンブーコ州芸術文化政策
- 2012: ユネスコ無形文化遺産登録
派生・影響
マラカトゥ、サンバ、ブラジル・ジャズと交差。
その後の代表曲
- Spok Frevo Orquestra — Vassourinhas (2003)
- Spok Frevo Orquestra — Hora do Frevo (2007)
日本との関係
豆知識
踊り手が手にする小さな傘(ソンブリーニャ)は、20世紀初頭、対立するコルドン(祭の行列)同士が衝突した際にカポエイラの使い手が振るった即席の武器(傘や棒)を様式化したもの、と説明されることが多い。当局が暴力を取り締まったあとも、傘だけがダンスのなかに残った。
影響・派生で結ばれたジャンル
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感触が近い系譜も地域も違うのに、聴くと通じるジャンル
フレヴォが好きな人は、この6つも刺さる可能性が高いです。系譜図には出てこない、意外な隣人たち。
