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Latin & Caribbean

Frevo

Brazil · 1907–present

行進曲が普通の倍速で鳴り、踊り手は小さな傘をくるくる回す。ブラジル北東部レシフェのカーニバルを、ブラスバンドが先頭で引きずるように駆け抜ける超高速のダンス音楽だ。

What it sounds like

ブラジル北東部レシフェ(ペルナンブーコ州)のカーニバル音楽。テンポはおよそ1分間に150〜200拍と、ふつうの行進曲のほぼ倍の速さで突っ走る(拍子は2拍子=2/4)。中心になるのはトランペット、サックス、トロンボーン、テューバといったブラスバンド編成で、ここに打楽器(カイシャ=小太鼓、スルド=大太鼓、パンデイロ、そして特徴的なプラトス=シンバル)が加わり、ときにエレキギターやシンセも使われる。フレヴォには大きく3つの形がある。歌のない器楽の「フレヴォ・ジ・ルア(frevo de rua=「街のフレヴォ」)」、独唱が乗る「フレヴォ・カンサォン(=「歌のフレヴォ」)」、そして群衆の合唱が入る「フレヴォ・ジ・ブロコ(=祭の地区組『ブロコ』のフレヴォ)」だ。最後のブロコ型だけはブラスではなく、ギターやカヴァキーニョ、フルートなど弦と木管中心の編成に合唱が乗る、別系統の音である。歌詞ではカーニバルや街の祭り、自分たちの誇りといったテーマが歌われる。リズムは行進曲とサンバの中間にあり、踊り手(パシスタ)は小さな傘(ソンブリーニャ)を手に、躍動感のあるステップ「パッソ」を踊る。

How it came about

19世紀末のレシフェのカーニバルで、軍隊行進曲(マルシュやブラジル独自のドブラード)、マシシ(maxixe)、ポルカ、カドリーリャといった舞曲が、労働者階級や元奴隷層の祭の行列(コルドン)のなかで融合して成立した。当初は彼らの祭のための音楽だったが、やがてレシフェ全市のカーニバルの顔になった。ステップ「パッソ」のほうは、行列を守る格闘技カポエイラの動きから生まれている。20世紀前半には、ネルソン・フェレイラやカピーバ(Capiba)といった作曲家がブラスバンド向けの楽曲形式を確立した。1980年代以降は、アルセウ・ヴァレンサ(Alceu Valença)やアントニオ・ノブレガ(Antonio Nóbrega)がロックやポップと往復させ、ビッグバンドのスポッキ・フレヴォ・オルケストラ(Spok Frevo Orquestra)が編成を組み替えて再構築するなど、現代的な更新が続いている。2012年にユネスコ無形文化遺産に登録された。現在もレシフェ・カーニバル(2月)の中心音楽である。

What to listen for

高音トランペットの鋭い刻みと低音テューバの応答が激しく掛け合う。息継ぎの隙もない速さのなかで、メロディは複雑に動きながらも少しも重くならず、驚くほど軽快に駆け抜ける。各セクションが短く区切られたフレーズを次々と受け渡すため、ひとつの旋律を長く保つことはほとんどない。トロンボーンが語尾にかける滑り(グリッサンド)も、ペルナンブーコ流の聴きどころだ。

If you only hear one thing

まずはカピーバ(Capiba)の「Madeira que cupim não rói」(=白蟻も齧らぬ堅木)。揺るがぬ愛を銘木に喩えた、合唱付きの叙情的なフレヴォ・ジ・ブロコ(歌入りのサブタイプ)で、この音楽の歌物としての顔が分かる。器楽ブラスの疾走を体感するなら、現代ビッグバンドのスポッキ・フレヴォ・オルケストラ『Passo de Anjo』(2008)へ。さらにポップ寄りの音なら、アルセウ・ヴァレンサ『Anunciação』(1983)。この順に聴けば、歌物から器楽の超高速、そしてポップ化までの幅が一度に分かる。ただしこの音楽の本来の姿は、レシフェ・カーニバル(毎年2月)の映像でこそ見えてくる。

Trivia

踊り手が手にする小さな傘(ソンブリーニャ)は、20世紀初頭、対立するコルドン(祭の行列)同士が衝突した際にカポエイラの使い手が振るった即席の武器(傘や棒)を様式化したもの、と説明されることが多い。当局が暴力を取り締まったあとも、傘だけがダンスのなかに残った。なお「フレヴォ」という名はポルトガル語の「ferver(沸騰する)」に由来し、煮え立つようなリズムの熱がそのまま名になった。

Notable artists

  • Alceu Valença1972–present
  • Lenine1980–present
  • Spok Frevo Orquestra2003–present

Notable tracks

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Brazil · around 1907 (±25 years)