伝統・民族

バイアォン

Baião

ペルナンブーコ州・セアラー州 / ブラジル / 南米 · 1900年〜

ブラジル北東部セルタオン(乾燥内陸)の農民音楽が、ルイス・ゴンザーガによって1940年代に都市化されたフォロー(フォホー)系ジャンルの中核。

どんな音か

バイアォンは、ブラジル北東部の乾燥内陸セルタオンのリズムを、都市の大衆音楽へ広げたフォホー系ジャンル。ザブンバの低い打撃、トライアングルの細かい金属音、アコーディオンの旋律が跳ねる。Luiz Gonzagaの「Asa Branca」は、乾いた土地と移住の哀しみを、覚えやすい旋律で歌う。

生まれた背景

20世紀前半から北東部で親しまれていたリズムを、1940年代にLuiz Gonzagaがラジオやレコードを通じて全国化した。セルタオンの農民文化、干ばつ、移住、祭りの踊りが背景にある。バイアォンフォホー全体の中核的リズムとして、北東部のアイデンティティをブラジル中へ伝えた。

聴きどころ

ザブンバの低い表拍と、トライアングルの細かい刻みを聴く。アコーディオンは明るいが、歌詞には干ばつや故郷を離れる痛みが入ることも多い。踊りの軽快さと生活の厳しさが同時にあるのが魅力だ。

発展

1950~60年代のジャクソン・ド・パンデイロ、ドミンギーニョスが世代を作り、1980年代以降のルイス・カルドーゾらが現代化を進めた。フォロー(フォホー)、フォロー・ペ・ジ・セヘア、フォロー・エレトロニコといった派生形がある。

出来事

  • 1947: ルイス・ゴンザーガ「アサ・ブランカ」
  • 1965: ジャクソン・ド・パンデイロ全盛
  • 1995: フォロー・エレトロニコ流行
  • 2010: 北東部音楽復興運動

派生・影響

フォロー、フォロー・エレトロニコ、ブラジル・ジャズ、トロピカリアと交差。

音楽的特徴

楽器アコーディオン、サンフォーナ、ジャベー、ザブンバ、声

リズム中速2/4、シンコペーション、内国移民歌詞

代表アーティスト

  • Sivucaブラジル · 1950年〜2006

代表曲

日本との関係

日本ではサンバボサノヴァほど一般的ではないが、ブラジル北東部音楽やフォホーを掘る人には重要である。日系ブラジル人コミュニティやブラジル音楽イベントを通じて触れる機会もある。アコーディオン音楽として聴いても入りやすい。

初めて聴くなら

入口は「Asa Branca — Luiz Gonzaga (1947)」。北東部の象徴的な曲である。リズムそのものを知るなら「バイアォン — Luiz Gonzaga (1946)」。Sivucaの演奏では「フォホー no Escuro — Sivuca (1973)」が洗練された入口になる。

豆知識

バイアォンは、ブラジル音楽の中心がリオやサンパウロだけではないことを教えてくれる。乾燥した内陸の生活から生まれたリズムが、ラジオによって国民的な踊りへ変わった。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1900年代1940年代バイアォンバイアォンフォホーフォホー凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
バイアォンを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

ブラジル · 1900年前後 (±25年)

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