クラスト・パンク
1980年代UKで成立した、Hardcore Punkをよりヘヴィ・暗黒志向に拡張したサブジャンル。
どんな音か
BPMは140~170台で、ギターは常に電子的な歪み(ディストーション)をかけられ、ベースは低音で『押し潰す』ような感触。ドラムはハードコア・パンク的な高速性を保ちながら、シンバルは『ガン』と暴力的に打たれる。ボーカルは叫び声で、『明確な歌唱』ではなく『音響の一部』として機能。歌詞は反政治的、反資本的なメッセージで、演奏の『粗さ』が信条を体現する。
生まれた背景
1980年代イギリスで、Dischargeが Hardcore Punk をより『ヘヴィ』『暗い』方向に拡張した。原始的なメタル的響き、ノイズの多用、政治的な怒りが音響に直結している。『Crust』という名前は『かさぶた』『汚れた外皮』を意味し、『醜さ』『不潔さ』を意図的に音楽に取り込む美学を示す。
聴きどころ
『Hear Nothing See Nothing Say Nothing』でのディストーションギターとボーカルの『圧倒的な密度』。『Arise!』でのベースラインの『進撃感』。一曲を『聴き流す』のではなく『耐え忍ぶ』という体験が、クラスト・パンクの本質。
発展
1990年代米国で再活性化、Tragedy、His Hero is Goneらが現代Crustを牽引した。
出来事
- 1982: Discharge『Hear Nothing See Nothing Say Nothing』 / 1985: Amebix『Arise!』 / 2000: Tragedy『Tragedy』
派生・影響
Anarcho Punk、Sludge Metal、Black Metal、D-beat。
音楽的特徴
楽器歪みギター、ベース、ドラム、シャウト声
リズム中-高速、d-beat、ヘヴィリフ
代表アーティスト
- Discharge
- Amebix
代表曲
- Decontrol — Discharge (1980)
- Why? — Discharge (1980)
- Hear Nothing See Nothing Say Nothing — Discharge (1982)
- Arise! — Amebix (1985)
Slumlord — Amebix (1985)
日本との関係
日本でもパンク・メタル系のコアなリスナーには認知されているが、一般的には知られていない。DIY文化や反権力志向を持つシーンでは影響がある。
初めて聴くなら
『Hear Nothing See Nothing Say Nothing — Discharge』を一曲で。アルバム全体ではなく、この一曲で『クラスト・パンク』の本質が体現されている。
豆知識
Dischargeのアルバムジャケットは『瀬戸際のイメージング』で統一されており、『音』と『ビジュアル』が完全に同調している。これはアルバム全体が『作品』である証拠で、後発のパンク/メタルに影響を与えた。
