ポップ

広東ポップ

Cantopop

香港 / 中国 / 東アジア · 1974年〜

1970年代以降の香港で成立した、広東語の大衆ポップ音楽。

どんな音か

広東語(香港、広東省、海外華人コミュニティ)で歌われるポップ。BPM 80〜130。シンセサイザー、ストリングス、ピアノ、ドラム、エレキギター。バラードが多く、サビでメロディが上昇、感情を歌い上げる。歌詞は広東語、テーマは恋愛、別れ、香港の街、人生、家族。録音は1980年代の華やかなプロダクション(リバーブ多め、シンセ・ストリングス分厚い)から、2000年代以降は徐々にシンプルな現代ポップ寄りへ。

生まれた背景

1970年代前半の香港。同じ広東語圏でテレビドラマ主題歌として広まった「許冠傑(サミュエル・ホイ)」が1974年の『鬼馬雙星』『天才與白痴』で広東語歌謡を一気にメジャー化させた。1980年代の張國榮(レスリー・チャン)、譚詠麟(アラン・タム)、張学友(ジャッキー・チョン)、梅艷芳(アニタ・ムイ)、王菲(フェイ・ウォン)が黄金期を作った。1990年代後半に「四大天王」(劉徳華、張学友、黎明、郭富城)が頂点。2003年の張國榮自殺以降、香港政情も影響して徐々に衰退。現在はK-popマンダリンポップに主流の座を譲ったが、シーンは続いている。

聴きどころ

広東語の九声(声調)とメロディの一致が極端に意識される(中国語の他方言以上に複雑)。歌い上げの感情表現、特にサビでの高音域の伸び。1980〜90年代の楽曲は日本シティポップ、AOR、欧米バラードのカバーが非常に多く、原曲との比較も面白い。

代表アーティスト

  • Alan Tam (譚詠麟)中国 · 1968年〜
  • Frances Yip (葉麗儀)中国 · 1969年〜
  • Leslie Cheung (張國榮)中国 · 1977年〜2003
  • Anita Mui (梅艷芳)中国 · 1982年〜2003
  • Jacky Cheung (張學友)中国 · 1984年〜
  • Leon Lai (黎明)中国 · 1986年〜
  • Faye Wong (王菲)中国 · 1989年〜

代表曲

日本との関係

1980〜90年代の日本歌謡曲は中華圏で大量にカバーされた。中島みゆき、谷村新司、玉置浩二、大滝詠一、井上陽水の楽曲は数百曲以上が広東語カバーされている。逆方向の影響では、王菲が1995年に発表した『容易受傷的女人』は中島みゆき『ルージュ』のカバー。香港映画(ジョン・ウー、ウォン・カーウァイ)で使われた広東ポップの楽曲が日本でも知られている。

初めて聴くなら

古典なら、Leslie Cheung『風繼續吹』(1983)。Anita Mui『壞女孩』(1986)。1990年代なら、Faye Wong『容易受傷的女人』(1992)。最近のものなら、Eason Chan『十年』(2003)、MIRROR『Boss』(2018)。

豆知識

張國榮(レスリー・チャン)は2003年4月1日、香港マンダリン・オリエンタル・ホテルから飛び降り自殺(46歳)。これは香港史上最大の文化的喪失とされ、毎年命日に大規模な追悼イベントが開かれる。広東ポップ黄金期(1980〜90年代)は香港返還(1997)前夜の不安と高揚が音楽に色濃く影響した時期。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1970年代広東ポップ広東ポップCポップCポップ凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
広東ポップを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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