広東ポップ
1970年代以降の香港で成立した、広東語の大衆ポップ音楽。
どんな音か
生まれた背景
広東ポップが芽生えたのは1970年代前半の香港だ。それまで主流だった英語・北京語のポップに対し、歌手の許冠傑(サミュエル・ホイ)が、1974年の映画『鬼馬雙星』の主題歌をはじめとするヒットで、広東語のポップを主流へと押し上げた。1980年代には張國榮(レスリー・チャン)、その最大のライバルとされた譚詠麟(アラン・タム)、伸びやかな歌唱で「歌神」と呼ばれた張学友(ジャッキー・チョン)、妖艶なステージで観客を魅了した梅艷芳(アニタ・ムイ)らが黄金期を築く。1990年代に入ると、映画も音楽も席巻した4人のスター、劉徳華(アンディ・ラウ)、張学友、黎明(レオン・ライ)、郭富城(アーロン・クォック)が「四大天王」と呼ばれた。同じ頃、女性ディーバとして王菲(フェイ・ウォン)が並び立つ。2003年に張國榮が亡くなった頃を境に勢いは陰り、その後はマンダリンポップ(北京語ポップ)やK-popに市場を奪われてジャンルは退潮した。いまは主流の座を譲ったが、2018年にデビューしたグループMIRRORの人気や広東語インディーの台頭で、シーンは途絶えることなく息を吹き返しつつある。
聴きどころ
代表アーティスト
- Alan Tam (譚詠麟)
- Frances Yip (葉麗儀)
- Leslie Cheung (張國榮)
- Anita Mui (梅艷芳)
- Jacky Cheung (張學友)
- Leon Lai (黎明)
- Faye Wong (王菲)
代表曲
- 上海灘 — Frances Yip (葉麗儀) (1980)
- 風繼續吹 — Leslie Cheung (張國榮) (1983)
- Monica — Leslie Cheung (張國榮) (1984)
- 壞女孩 — Anita Mui (梅艷芳) (1985)
- 愛情陷阱 — Alan Tam (譚詠麟) (1985)
日本との関係
初めて聴くなら
まずは古典の一曲、張國榮(レスリー・チャン)『風繼續吹』(1983)。彼の伸びやかな歌唱と広東ポップ黄金期の幕開けを象徴するバラードだ。続いて1990年代を決定づけた王菲(フェイ・ウォン)『容易受傷的女人』(1992)。歌詞を聴くなら陳奕迅(イーソン・チャン)『明年今日』(2002)を。作詞は名手・林夕で、同じメロディに別の歌詞を付けた北京語版『十年』としても広く知られる名曲だ。現在の復活ぶりを一曲でつかむなら、2018年デビューのグループMIRRORの『Boss』(2021)。さらに一枚通して浸るなら、張國榮が自身に影響を与えた歌手たちへ捧げた全曲カバーのアルバム『Salute』(1989)を勧めたい。
豆知識
影響・派生で結ばれたジャンル
同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル
- 古典革命模範劇
