伝統・民族

センバ

Semba

ルアンダ / アンゴラ / 南アフリカ · 1600年〜

ブラジル・サンバの祖先とされるアンゴラの伝統舞踊音楽で、独立後の都市ルアンダで電化されたバンド・ジャンルでもある。

どんな音か

センバは2/4拍子で、ヒップの動きを強調するようなシンコペーション・リズムが基調。アコースティック・ギターのパターンはシンプルながら、ベース・ラインが相当に動的で、上下に跳ねるような動きを繰り返す。ヴォーカルは感情的で、抑制されたビブラートが特徴。都市化されたセンバでは、ダンス・ホールの不可欠な音として、アンプリフィケーション(電化)が図られ、キーボード、エレクトリック・ベース、ドラム・マシンが加わるようになった。踊り手の体の揺れとビート感の直結が、最も重要な要素。

生まれた背景

センバはアンゴラの植民地時代の伝統舞踊に由来する。アフリカ系とポルトガル系の文化が混在した環境で発達した。1960年代のアンゴラ独立戦争を経て、首都ルアンダの都市部でセンバは急速に電化・編成され、ダンス・ホール音楽として再生された。政治的な抑圧下でも、人々はセンバを踊ることで、身体と心の自由を確保していた。独立後は、アンゴラ・アイデンティティの文化的表現として認識されるようになった。

聴きどころ

ベース・ラインの動きと、ヒップの動きの対応関係を理解すること。ドラムのハイハットのパターンも、独特で、アフロ・リズムとポルトガル由来のリズムの融合を示している。歌詞の内容(植民地化の抵抗、愛、祝い)も、音の質感に影響している。

発展

1960~70年代にブンガ、N'goma Jazz、Africa Showらが電化バンド化し、独立宣言の1975年以降にも歌詞を更新しながら国民音楽の地位を保った。1990年代以降のキゾンバ(ロマンティック・スロー)やクドゥロ(高速エレクトロ)はセンバを源流にする。

出来事

  • 16世紀: 大西洋奴隷貿易でアンゴラ人がブラジルへ
  • 1960: ブンガ結成
  • 1975: アンゴラ独立、文化政策で国民音楽化
  • 2000: キゾンバ国際化

派生・影響

ブラジル・サンバの源流の一つ。キゾンバ、クドゥロを派生。

音楽的特徴

楽器ディコンザ、エレキギター、アコーディオン、ホーン、声

リズムウンビガダ求愛舞踊、3拍2拍混合、コール&レスポンス

代表アーティスト

  • Bongaアンゴラ · 1972年〜

代表曲

日本との関係

アンゴラ音楽への認知は日本では限定的だが、ワールド・ミュージック市場の拡大とともに、徐々に知られるようになっている。特にアフロビート愛好家の間で、セサッジ(セネガル)との比較を通じて認識されることもある。

初めて聴くなら

Bongaの『Mona Ki Ngi Xica』(1972年)。この曲は、独立直後のアンゴラの政治的抑圧とセンバの精神的抵抗を最も直接的に表現したもの。夜のダンスホール的な雰囲気の中で聴くのが最適。

豆知識

Bongaはアンゴラの独立戦争中、このセンバを武器として使った。『Mona Ki Ngi Xica』というタイトルは、植民地支配の象徴的な表現で、その歌が放送禁止になったことで、逆にセンバの政治的力が証明された。現在、セサッジとセンバは『アフロ・ポルトガル・ディアスポラ音楽』の姉妹関係として認識されている。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1600年代1910年代1990年代センバセンバサンバサンバクドゥロクドゥロ凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
センバを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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