エレクトロニック

クドゥロ

Kuduro

ルアンダ/リスボン / アンゴラ / 南アフリカ · 1994年〜

1990年代アンゴラ・ルアンダの戦時郊外で生まれた、超高速の打ち込みリズムとエネルギッシュなラップ・ダンスのアフロ・エレクトロ・ジャンル。

どんな音か

BPMは130〜140台で、キックが強く前に出た歪み気味の打ち込みサウンドが基本だ。旋律的な要素は少なく、リズムのエネルギーが主役で、その上に短いラップやコーラスが乗る。音はざらつきがあり、プロダクションの「磨かれていなさ」がそのまま音楽の個性になっている。踊り(クドゥロのダンス)は激しく、手足を素早く動かす独特のスタイルで、DJブースの前で個人が自分のスタイルを見せる。バラカ・ソン・システマの「Sound of クドゥロ」(2008年)はポルトガルのクリエイターがアンゴラのビートをヨーロッパ向けに再構成したバージョンだ。

生まれた背景

1990年代前半、アンゴラは長期の内戦(1975〜2002年)の真っ只中にあった。ルアンダの郊外(ムセケ)は農村から戦火を逃れてきた人々が密集した貧困地区で、電気も音楽機材も乏しい環境から生まれた音楽だ。安価な打ち込みソフトウェアとカセットで作られた音楽が、クドゥロとして名付けられた。2000年代にポルトガルのアンゴラ系移民コミュニティがヨーロッパに持ち込み、バラカ・ソン・システマが国際的に広めた。「クドゥロ」はポルトガル語で「硬い尻」を意味し、踊り方を指すスラングが音楽ジャンル名になった。

聴きどころ

キックの音が歪んでいることに最初に気づく。これはわざと圧縮をかけた加工によるもので、クドゥロのサウンドシグネチャーだ。次に、リズムパターンがアフリカのポリリズム感覚(複数のリズムが少しずれて重なる)を電子音で再現していることを聴き取る。バラカ・ソン・システマの曲は国際的に洗練されているため、アンゴラ土着の初期録音と比べると違いが分かる。

発展

2000年代後半リスボン経由で欧米クラブに広まり、ムウラチェ&マルファラ、バトイダンサ、DJマルファラなどポルトガル系アンゴラ二世が国際展開した。M.I.A.「Bucky Done Gun」やマドンナ「Bitch I'm Madonna」(2015年に当該リズム引用)を介してメインストリームと接合した。

出来事

  • 1994: 初期マスター・ジェイがDJセット
  • 1996: トニ・アマド名作
  • 2007: ブラリア『ソウ・キング・ンサンジ』
  • 2015: マドンナがクドゥロ風楽曲を発表

派生・影響

センバから派生してクドゥロが成立。バトイダ、UKフック・テクノと交差。

音楽的特徴

楽器ドラムマシン、サンプラー、PC、声

リズム140+ BPM、跳ねるパーカッション、叫ぶラップ

代表アーティスト

  • Tony Amadoアンゴラ · 1994年〜
  • Buraka Som Sistemaポルトガル/アンゴラ · 2006年〜2016

代表曲

  • Kalemba (Wegue Wegue)Buraka Som Sistema (2008)
  • Sound of KuduroBuraka Som Sistema (2008)
  • Hangover (BaBaBa)Buraka Som Sistema (2014)
  • New Africas Pt. IBuraka Som Sistema (2008)
  • AmbaTony Amado (1996)

日本との関係

日本ではアフリカン・エレクトロニカの文脈でごく一部のリスナーに知られている。クラブミュージックのリスナーやDJの間でバラカ・ソン・システマの「Sound of クドゥロ」が話題になった時期がある程度で、広い認知はない。

初めて聴くなら

バラカ・ソン・システマの「Sound of クドゥロ」(2008年)または「Kalemba (Wegue Wegue)」(2008年)から聴く。ヨーロッパで制作された分、初心者でも入りやすい音質になっている。続けてトニー・アマドの「Amba」(1996年)を聴くと、ルアンダ原産のよりローファイな質感が体感できる。

豆知識

クドゥロは内戦終結後のアンゴラ社会で急速に広まり、2000年代の平和への楽観とエネルギーを反映している。スウェーデンフランスポルトガルなどアフリカ移民の多いヨーロッパ都市でも独自の変化を遂げ、それぞれのローカルシーンで別の音楽に育っていった。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1600年代1980年代1990年代クドゥロクドゥロセンバセンバハウスハウス凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
クドゥロを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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