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伝統・民族

マオリ・ワイアタ

Maori Waiata

ニュージーランド / オセアニア · 1300年〜

別名: Karakia

ニュージーランド先住民マオリの歌の伝統。

まずはここから

ひとことで言うとニュージーランド先住民マオリの歌の伝統。

まずはこの曲からMoana ManiapotoPokarekare Ana ▶ YouTube

代表的な人Hirini Melbourne

どんな音か

マオリ・ワイアタは、ニュージーランドの先住民マオリの伝統歌謡の総称で、細分化すると①ワイアタ・アー・リンガ(手の動きを伴う歌、マオリ舞踊カパ・ハカの中心)、②ワイアタ・ポイ(女性が球状の紐付き重りを回しながら歌う歌)、③ワイアタ・タンギ(哀悼歌、葬儀=タンギハンガで歌われる)、④ワイアタ・アロハ(恋愛歌)、⑤カラキア(祈祷詠唱)といった機能別のサブジャンルに分かれる。編成は無伴奏の合唱が主流で、時にはギターやウクレレを伴うこともある(20世紀に入ってから)。旋律は五音音階に近く、装飾音は西洋クラシックのような清潔な前打音ではなく、母音を長く伸ばして声調を揺らす「モテアテア」の技法が中核だ。

聴きどころ

モテアテア(伝統詠唱)を聴くとき、旋律の上下ではなく、母音の伸縮に耳を澄ませてほしい。「Aotearoa」(白い長い雲の国=NZの伝統呼称)を歌うとき、「A-o-te-a-ro-a」の最初のAが3秒近く伸びることもあり、この母音の呼吸が本来のワイアタの時間感覚だ。ワイアタ・ポイの場合、女性歌手が回すポイ(手芸で編んだ紐付き球)の音がタンバリンのように演奏に加わり、視覚的にも音楽的にも独特の質感を生む。Hirini Melbourne(1949-2003、伝統楽器復活の中心人物)の『Ha Wairua』は伝統的な骨笛(ラウレモコ)を使った復元録音で、20世紀後半に途絶えかけた楽器伝統の音を体感できる。

初めて聴くなら

入り口はKīngi Īhaka卿指揮の『Pōkarekare Ana』の伝統合唱版、あるいはMoana & The Tribe(Moana Maniapoto)の『Ancestors』アルバム。Whirimako Blackの『Whirimako Sings...』は伝統詠唱の現代盤として最も明快な入り口だ。Hirini Melbourne + Richard Nunns『Te Ku Te Whe』(1994)は伝統楽器の復元録音で、途絶えかけた楽器音を体感できる。夜、あるいは早朝、静かな場所で聴くのが向いている。

代表アーティスト

  • Hirini Melbourneニュージーランド · 1980年〜2003
  • Moana Maniapotoニュージーランド · 1990年〜

代表曲

生まれた背景

マオリの祖先は14世紀頃、ポリネシア(主にタヒチ、クック諸島)から双胴独木舟(ワカ・フーロア)で7つの氏族(ワカ)がニュージーランドに到達した口承がある。1840年のWaitangi条約以降、英植民地下でマオリ語は学校教育から段階的に排除され、20世紀前半には話者が半減した。

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1970年代のマオリ・ルネサンス(マオリ語運動、文化復興運動)以降、政府政策としてのマオリ語振興(1987年Māori Language Act、1990年以降のマオリ語テレビ局)がワイアタ・トラディションの復権を制度的に支えた。決定的な出来事は1972年のマオリ語復権のための請願書提出と、1975年のマオリ土地行進で、これらを機に伝統歌がPublic Sphereに戻ってきた。

音楽的特徴の詳細

楽器声、プトルゥ(伝統横笛)、コアウアウ(縦笛)、パハカ(打棒)

リズムワイアタ古典詠唱の自由律、ハカの強拍、儀礼的繰り返し

発展

1970年代からマオリ・ルネサンスが起こり、教育(コハンガ・レオ=幼児マオリ語園)とテレビでマオリ音楽が再評価された。ヒラリーニ・モフィット・ホエティラ・キリスティーン・カラ・テ・キハイ・ハミルトンらが継承を担い、Maisey Rikaら現代マオリ・ポップが世界に広まる。

出来事

  • 13世紀: マオリのアオテアロア到達。
  • 1840年: ワイタンギ条約。
  • 1972年: マオリ言語週間制定。
  • 1985年: コハンガ・レオ運動。
  • 2017年: マオリ語週間が全国行事化。

派生・影響

現代ニュージーランド音楽(ヒップホップ・レゲエとの融合)、ポリネシア音楽連帯、ニュージーランド国家アイデンティティの中核を提供する。

日本との関係

1990年代のリバダンス風のケルト・ブームと同時期に、日本のTVCM(サントリー、JAL)でマオリ・ハカが使われた時期があり、その頃から日本の観光客のNZ旅行増加で認知が広がった。ラグビー・オールブラックスの試合前ハカ(『Ka Mate』1820年頃の作)は日本のスポーツ視聴者にとって最も広く知られたマオリ音楽だ。マオリ語の音節構造(子音+母音の連続)が日本語に近く、日本人には発音しやすい特徴があり、1990年代以降の日本人のマオリ語学習者は静かに増えている。

豆知識

『Pōkarekare Ana』(揺れる波)はマオリ・ワイアタの中で最も広く知られた曲だが、実際の作者は不明で、1912年頃の第一次世界大戦期に東海岸の兵士たちの間で歌われ始めた比較的新しい歌だ。この曲は1990年代以降、NZ航空のCMや、韓国映画『チェイサー』のサウンドトラックにも使われ、東アジアでも知名度が高い。

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マオリ舞踊カパ・ハカの全国大会Te Matatiniは1972年から開催され、いまや全国から40組以上のグループが出場し、40万人以上の観客を集めるNZ最大の文化イベントとなっている。ワイアタは学校教育でも必修化されており、NZの一般人でも基礎的なマオリ・ワイアタを歌える人は少なくない。

影響・派生で結ばれたジャンル

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ジャンル関係図-50000年代500年代1300年代1500年代1970年代マオリ・ワイアタマオリ・ワイアタアボリジニ音楽アボリジニ音楽サモア音楽サモア音楽ハカハカ太平洋レゲエ太平洋レゲエ凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
マオリ・ワイアタを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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