メント
20世紀前半ジャマイカで成立した、アコースティック編成の田舎的アフロ・カリブ歌謡で、レゲエに先立つジャマイカ・ポピュラー音楽の祖。
どんな音か
メントはアコースティック編成が基本で、ギター、バンジョー(またはルーマニア式コード・バンジョー)、ルンバ・ボックス(大型の親指ピアノ、低音ベース担当)、ハンドドラム、ガラガラが揃う。テンポは中程度の2拍子系で、リズムはシンコペーション(弱拍への強調)が多く、体が自然に揺れる。歌詞は英語とジャマイカ・クレオール語が混ざり、愛、食べ物、性的な比喩、地域の噂話などがテーマ。Lord Flea「Naughty Little Flea」(1957)のタイトル通り、言葉遊びと意味の二重性がメント特有のユーモアを作る。録音は1950年代の古いモノラルが多く、音がこもっているが、その音質自体が時代の空気を運ぶ。
生まれた背景
聴きどころ
Lord Flea「Naughty Little Flea」(1957)のルンバ・ボックスの低音に注目してほしい。親指で弾く金属の舌が規則的に鳴り、ベースラインを担う。コントラバスのような重さはないが、楽曲の底を安定させる独特の存在感がある。バンジョーの刻みはリズムの裏拍を強調し、前のめりの推進力を作る。The Jolly Boys「Take Her to Jamaica」(1989)は現代録音で音がクリアなため、各楽器を分離して聴きやすい。
発展
1960年スカの台頭で商業的に後景化したが、ザ・ジョリー・ボーイズ、ナバン・キャレイバンらが伝統を保持。1990年代以降のジャマイカ国民文化遺産政策で再評価された。
出来事
- 1949: ジャマイカ初の商業録音
- 1955: ハリー・ベラフォンテのカリプソ・ブームでメントも国際紹介
- 1960: スカ台頭で後景化
- 1996: ザ・ジョリー・ボーイズ復活
派生・影響
スカ、ロックステディ、レゲエ、カリプソと相互影響。
音楽的特徴
楽器アコースティックギター、バンジョー、ルンバ・ボックス、マラカ、声
リズム緩やかな2/4、後拍弱拍、諧謔歌詞
代表アーティスト
- Lord Flea
- Jolly Boys
- The Jolly Boys
代表曲
- Naughty Little Flea — Lord Flea (1957)
- Take Her to Jamaica — Lord Flea (1957)
- Take Her to Jamaica — The Jolly Boys (1989)
- Touch Me Tomato — Jolly Boys (1989)
Hanging Tree — Jolly Boys (2010)
日本との関係
初めて聴くなら
The Jolly Boys「Touch Me Tomato」(1989)は音質が良く、ルンバ・ボックス、バンジョー、ハンドドラムの組み合わせが明確に聴き取れる。歌詞の意味を調べると、食べ物の比喩が性的な意味を持つメントの言葉遊びの典型例になっている。
