カージリー
雨季を主題とする北インドの準古典・民謡的歌曲。
どんな音か
生まれた背景
北インド、特にウッタル・プラデーシュ州の民間音楽として、雨季(サワン月=7月から8月)の祭りや集まりで歌われてきた。準古典音楽と分類されるのは、古典音楽の構造を借りながらも、より単純で民衆的な性格を保つためである。女性が歌う伝統が強く、また若い女性の声が好まれるため、世代交代のなかで音の明るさや速度感が時代とともに変化している。
聴きどころ
声の精密な装飾、特にタアンの部分で何度も何度も同じフレーズが変形しながら戻ってくるパターン。ドローン弦がどの周波数帯で鳴っているか。太鼓のリズムが声のリズムと食い違う瞬間の緊張感。歌詞の内容と旋律の選択の関係。
発展
20世紀のショーバー・グルトゥ・ギリジャー・デーヴィー・ラージャン-サージャン・ミシュラ兄弟らがカージリーをコンサート・レパートリーに組み込んだ。ボリウッド映画でも雨季シーンの歌としてしばしば登場する。
出来事
- 18世紀: 農村雨季歌としての形成。
- 19世紀: ベナーレスでの準古典化。
- 1965年: ショーバー・グルトゥ録音。
- 1980年代: ギリジャー・デーヴィーによる定番化。
- 2000年代: 季節歌伝承の文化財指定議論。
派生・影響
チャイティー(春の歌)・ホーリー(春祭り歌)・サワン(雨季歌)など季節歌系のジャンルとともに北インド準古典歌曲群を構成する。
音楽的特徴
楽器声、ハルモニウム、タブラ、サーランギー
リズムケヘルワー・ダドラの軽快な拍、雨季を表現する旋律、女性合唱の応答
代表アーティスト
- ギリジャー・デーヴィー
- ショーバー・グルトゥ
代表曲
Sawan Kajri — ギリジャー・デーヴィー (1990)
日本との関係
カージリーは日本ではほぼ知られていない。インド古典音楽の認知は進んでいるが、それは主にヒンドゥスターニー古典音楽(楽器中心)やボリウッド映画音楽を通じてであり、北インド民俗音楽の詳細な形式まで学ぶ機会は限定的である。
初めて聴くなら
豆知識
影響・派生で結ばれたジャンル
同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル
- 伝統・民族チャイティー・ホーリー
- 古典タッパー
