エレクトロニック

ゴム

Gqom

ダーバン / 南アフリカ共和国 / 南アフリカ · 2010年〜

2010年前後ダーバンのタウンシップで生まれた、暗く重たい4/4キックとミニマルなパーカッションが特徴の南アフリカ・ストリート・エレクトロ。

どんな音か

南アフリカ・ダーバン発のミニマルなダンス音楽。BPM 120〜130。ドラムマシンの硬質なキック、シンセ・ベースの低音、ハイハットの細かい刻み、暗いシンセ・パッドの繰り返し。ヴォーカルはほとんど無し、サンプルされた短い掛け声、ズールー語のフレーズ、コーラスが時々挿入。曲尺は4〜6分。録音はとにかく低音重視、ダーバンのタクシー(都市部のミニバス・タクシー)から流れる音を意識した粗いマスタリング。

生まれた背景

2000年代後半のダーバン(南アフリカ東岸)、若いプロデューサーたちが、クワイト(1990年代南ア・ハウス)とTribal ハウスを「ミニマル」に削ぎ落とした。Citizen Boy、Naked Boyz、Cruel Boyz、Distruction Boyz、DJ Lag、Rudeboyzらが2009〜13年にシーンを形成。2014〜16年に欧州レーベル(Goon Club Allstars、Gqom Oh!)が紹介し、世界化の波に乗る。2018年のBeyoncé『Lion King: The Gift』(2019)でDJ Lagが共作したことで、アメリカ合衆国チャート上位にも到達した。

聴きどころ

ベースの「ボン・カ・ボン」というシンプルなパターン。シンセが歪んだ「ジャジャジャ」というリフを延々と繰り返す独特の構造(西洋電子音楽より反復が長い)。ヴォーカルが入っても、ほとんど音響的な装飾扱い。クラブで大音量で聴かないと、音楽の本体が伝わりにくい。

発展

2014年ロサンゼルス・レーベル「ロサンゼルス・スーパー・ロウ」と英国「ローヤル」が国際盤を出し、グライムやベース・ミュージックと並列に紹介された。2018年ビヨンセ『ライオン・キング ザ・ギフト』への参加でメインストリーム化が一気に進む。

出来事

  • 2010: ダーバンの DJ ナクラニ初期作品
  • 2014: 「Gqom Oh!」コンピレーション国際発売
  • 2018: ビヨンセ『ライオン・キング ザ・ギフト』
  • 2020: アマピアノとの共生関係

派生・影響

クワイト、アフロ・ハウス、グライム、後のアマピアノに影響。

音楽的特徴

楽器ドラムマシン、サンプラー、シンセ、声

リズム暗いシンセ、4/4キック、断片的詠唱

代表アーティスト

  • DJ Lag南アフリカ共和国 · 2010年〜
  • Distruction Boyz南アフリカ共和国 · 2014年〜

代表曲

  • Ice DropDJ Lag (2016)
  • OmunyeDistruction Boyz (2017)
  • KhonaDJ Lag (2018)
  • 8AM in DurbanDJ Lag (2019)
  • Ngiyaz'fela NgaweDistruction Boyz (2017)

日本との関係

日本での認知は限定的だが、東京WOMB、ageHa、Liquidroomなどでアフリカ・エレクトロニカ特集の一環として時々プレイされている。最近のアマピアノ・ブームと並行して、注目されるべきジャンル。

初めて聴くなら

1曲だけ聴くなら、DJ Lag『Stampede』(2017)。海外進出のきっかけとなった代表曲。Distruction Boyz『Omunye』(2017)もシーン定番。コンピレーションなら『Gqom Oh!』シリーズ(2015〜)。

豆知識

「Gqom」はズールー語で「ドラム」「打音」を意味する。ジャンル名そのものが擬音から来ている、という珍しいパターン。ダーバンの公共交通(ミニバス・タクシー)で大音量で流れることが、若者にとってのジャンル体験の中心だった、というシーン形成の背景がある。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1980年代1990年代2010年代ゴムゴムハウスハウスクワイトクワイトアマピアノアマピアノ凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
ゴムを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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