伝統・民族
エイサー
Eisa
沖縄県 / 日本 / 東アジア · 1600年〜
別名: 沖縄エイサー / Okinawan Drum Dance
沖縄の旧盆に踊られる、太鼓と踊りの集団芸能。
どんな音か
旧盆時期の沖縄でヒビッキ(太鼓の皮の張る音)とヒラヤーチ(すり足での踊り)が合致する。複数の太鼓奏者が円形に配置され、各太鼓のビート(130~150BPM程度)が微妙に『ズレ』ながら前進し、踊り手たちがそのズレそのものを身体で解釈する。衣装は白地に赤や黄の帯で、暗くなった夜の集落を、あかりが照らすように移動していく。
生まれた背景
エイサーは琉球王国時代にまで遡る可能性があるとされるが、確実な起源は戦後の1950年代。沖縄戦後、米軍基地下の経済的困窮の中で、若者たちが伝統的な盆踊りを復活させ、現代化させたものがエイサーの開始点。その後、沖縄の地域アイデンティティ形成と密接に結びつき、1974年から毎年『那覇大綱挽き』の際にエイサーが演じられるようになった。本土での『沖縄ブーム』とも相まって、1990年代には全国的知名度を獲得。
聴きどころ
複数の太鼓が『組み違う』リズムを延々と反復する中で、踊り手たちは『ズレに身を任せる』のではなく『ズレに対抗する』。その『抵抗と同調の交差』が、エイサーの身体感覚の核。また、太鼓の『皮の質感の違い』にも注目すると、各太鼓奏者の個性が聞き分けられる。
発展
1956年に第1回コザ市青年エイサーまつりが開催され、競技化・大規模化が進んだ。1970年代には創作エイサーグループ(琉球國祭り太鼓など)が登場し、本土・海外公演で広まった。現代は沖縄文化の象徴として国際的に認知される。
出来事
- 17世紀: 念仏踊り系の起源。
- 1956年: 沖縄全島エイサーまつり開始。
- 1982年: 琉球國祭り太鼓設立。
- 1990年代: 全国・海外公演活発化。
- 2007年: ハワイ・ブラジルなど国際エイサー大会開催。
派生・影響
本土の創作太鼓グループや、海外の沖縄県人会・移民コミュニティでもエイサーが継承される。創作太鼓ジャンル全般にも影響を与えた。
音楽的特徴
楽器大太鼓、締太鼓、パーランクー、三線、唄、指笛
リズム勇壮な太鼓パターン、隊列を組む集団振付、ヤグイ(掛け声)
日本との関係
沖縄文化は1990年代以降、本土の『異国情調への憧れ』と『同胞への抑圧の反省』が混在しながら流行した。エイサーはその象徴的な存在で、夏祭りのイベント・文化祭・大学のサークル活動まで、本土各地で『エイサー愛好会』が組織されるようになった。ただし、本来的な『祖先との交感』『地域共同体の確認』という宗教的側面は、伝播の過程で薄れてしまった。
初めて聴くなら
りんけんバンドの『豊年エイサー』(1990)。バンド編成で現代化されたバージョンだが、エイサーの『太鼓のズレ感』の核を保持している。初夏から真夏の日中、できれば屋外で、汗ばむ環境下で聴くと、自分の身体がうっすら踊り始めるのを感じられる。
豆知識
エイサーは旧盆(陰暦7月)と新盆(8月)の両方で演じられるが、時間帯によって『夜明け前のエイサー』『真夜中のエイサー』『夜明けのエイサー』と異なる性質を持つ。つまり、同じ太鼓リズムでも『時間帯という外部要因』によって、印象が激変する。
同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル
日本 · 1600年前後 (±25年)
- 伝統・民族民謡1600年〜 · 日本
- 伝統・民族阿波踊り1600年〜 · 日本
- 古典地歌1620年〜 · 日本
- 古典箏曲1620年〜 · 日本
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