箏曲
箏(こと)を中心とする日本の絃楽古典音楽。
どんな音か
箏(こと)を中心とした日本古典弦楽音楽。13本の絃(現代は多くが調整可能)を爪で弾く奏法で、音域は広く、装飾音が豊富に用いられる。単旋律を基本としながら、複数の箏がハーモニーを作ることもある。テンポは遅く、各音の『質』(音色の変化、ビブラート、音の消え方)が表現の中心。曲名は『六段の調』『夜明け前』『春の雨』など、自然や季節的情感に由来するものが多い。録音による現代的表現と、生演奏での多様性(奏者による解釈の自由度が高い)が並存。
聴きどころ
八橋検校の『六段の調』では、箏の音が時間とともに消えていく『余韻の世界』が、音楽の主体。各段落(段)で、異なる旋律線が展開される単純さと、その中での細かな音響変化の複雑さが共存。宮城道雄の作品では、より現代的な響きの中に、古典的な『間』が保存される。複数の箏が合奏する場合、各々が独立した時間軸を持ち、時に一致し、時に対話する形式が美学の中心。
初めて聴くなら
八橋検校の『六段の調』。1664年作曲で、箏曲の最古典的名作。各段の美しさが段階的に展開される。その後、宮城道雄の作品で、より現代的な解釈を聴く。静かな日本家屋のような環境で、朝か夕方に聴くことを勧める。
代表アーティスト
- 八橋検校
- 宮城道雄
- 中能島欣一
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- 唯是震一
- 沢井忠夫
- 黄秉冀
代表曲
- 八橋検校 — 六段の調 (1664)
生まれた背景
江戸時代(特に17世紀)に、筑紫派・八橋派などの流派が箏曲の基本形式を確立。それ以前は、箏は宮廷音楽の一部でしかなかったが、江戸中期から市民階級の娯楽音楽として普及。
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明治以降は、西洋音楽の流入にも抵抗し、古典形式を守りながら同時に新作曲も創作される二重性を保持。戦後は民俗音楽として相対化され、同時に『伝統文化』として国家的に保護される。宮城道雄(1894-1956)は、箏曲の作曲家であり、現代音楽とも融合する実験を行った。
音楽的特徴の詳細
楽器箏(13絃)、十七絃箏、声、(合奏で)三味線、尺八
リズム段構成、手事(器楽間奏)、平調子・雲井調子などの調絃
発展
18世紀の八重崎検校・19世紀の吉沢検校・光崎検校が手事物・段物を充実させた。明治以降、宮城道雄が『春の海』(1929年)で西洋音階・尺八との融合を試み、新日本音楽の旗手となった。現代は東京藝大邦楽科・沢井忠夫一門らが牽引する。
出来事
- 1664年: 八橋検校『六段の調』作曲。
- 1818年頃: 山田検校が江戸で山田流創始。
- 1929年: 宮城道雄『春の海』発表。
- 1955年: 重要無形文化財指定。
- 1990年代: 沢井忠夫らによる現代箏曲の国際化。
派生・影響
三曲合奏(箏・三味線・尺八)の成立、新日本音楽、現代邦楽創作の中核楽器として展開。海外でも箏ソリストが活躍する。
日本との関係
日本の古典音楽として広く認識されているが、実際に聴く人口は限定的。学校教育では、『伝統文化学習』の一部として紹介されるが、深い理解は進まない。近年は、アニメ・ゲーム・映画の背景音楽として使用され、若年層への接触機会が増加。
豆知識
箏曲の『流派』は複数存在し(山田流、生田流など)、同じ曲でも流派によって演奏法が異なる。これは、西洋クラシック音楽の『標準的解釈』とは異なり、『音楽的伝統の多様性』を保持する日本的な特性。
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また、箏の調律は演奏ごとに異なり、曲の気分に合わせて音階そのものが変更されることがある。
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