クアルテート
アルゼンチン中部コルドバ州で1940年代に成立した、4人組編成(クアルテート)の高速ダンス音楽で、メレンゲ的なリズム駆動が特徴。
どんな音か
生まれた背景
1943年、コルドバ出身のCuarteto Leo(レオン・ジャーマン率いる4人組)が、ハンガリーやポーランドのポルカをベースにした軽快な踊り音楽を演奏し始めたのが起源とされる。「クアルテート(4人組)」という名はこの創始バンドに由来する。当初は中産階級向けのダンスホール音楽だったが、1960〜70年代にかけて労働者階級・低所得者層に広がり、「コルドバの庶民音楽」として定着した。La Mona Jiménez(本名カルロス・ヒメネス、1951年生まれ)は1970年代から現在まで第一人者であり続け、コルドバではほぼ国民的英雄の扱いを受けている。ブエノスアイレスでは長らく「田舎の安い音楽」と見られていたが、1990年代の経済危機後に全国規模での普及が始まった。
聴きどころ
オルガンのリフとバスドラムの位置関係を追う。リズムが単純なだけに、ヴォーカルのフレーズがどこで拍の「裏」に入るかが面白い。La Mona Jiménezの『El Marginal』(1990年)はクアルテートの高速エネルギーが最もわかりやすい形で現れた曲で、コルドバのライブ録音版があれば会場の熱さがそのまま伝わる。
発展
1980年代のラ・モナ・ヒメネス、カルロス・ロチャらが商業的に巨大化し、コルドバ国民音楽となった。21世紀には現代ロックやレゲトンとも交差し、ウラジミール・ガオナら若手が世代を更新する。
出来事
- 1943: 初のクアルテート結成
- 1967: ラ・モナ・ヒメネス・デビュー
- 1985: 全国メディア進出
- 2010: 現代化
派生・影響
メレンゲ、テキサス・ノルテーニョ、現代ラテン・ポップと交差。
音楽的特徴
楽器ピアノ、アコーディオン、ヴァイオリン、ベース、ドラム、声
リズム高速2/4トゥンガ・トゥンガ、4人組ダンス、メレンゲ的駆動
代表アーティスト
- La Mona Jiménez
代表曲
- El Marginal — La Mona Jiménez (1990)
- Beso a Beso — La Mona Jiménez (1995)
- Quien Se Ha Tomado Todo el Vino — La Mona Jiménez (1978)
El Tarro — La Mona Jiménez (1998)
Ritmo Cordobes — La Mona Jiménez (2000)
日本との関係
初めて聴くなら
La Mona Jiménezの『El Marginal』(1990年)から入る。踊れるかどうかより先に、単純なリズムが速いテンポで繰り返されることの快楽を確認する。続けて『Beso a Beso』(1995年)を聴くと、同じアーティストがロマンチックなバラードに近い編成でどう変わるかが見えてくる。
豆知識
La Mona Jiménezは50年以上のキャリアを通じて1,000曲以上をレコーディングしたとされ、コルドバ郊外のビジャ・デル・パルケ地区出身。コルドバ市内にはLa Monaにちなんだ通りの名前があり、彼のライブは一度で数万人を集めることがある。「La Mona(猿)」というニックネームは、若い頃のエネルギッシュな動きから仲間につけられたものとされる。
同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル
- 宗教・霊歌ミサ・クリオージャ
