宗教・霊歌

ミサ・クリオージャ

Misa Criolla / Latin American Folk Mass

アルゼンチン / 南米 · 1964年〜

ラテンアメリカの民俗音楽語法でミサ通常文を歌う、20世紀後半の典礼音楽運動。

どんな音か

ミサ・クリオージャは、カトリックのミサ通常文をラテンアメリカ合衆国の民俗リズムで歌う音楽。合唱は教会音楽の荘重さを保ちながら、チャランゴ、ギター、ボンボのような響きが土の匂いを加える。Ariel Ramírezの作品では、Kyrieの祈りがアンデス的な旋律で立ち上がり、Gloriaでは打楽器と合唱が明るく前へ進む。

生まれた背景

1960年代のアルゼンチンで、Ariel Ramírezが作った《Misa Criolla》が象徴的な作品となった。第2バチカン公会議以後、典礼で各地の言語や音楽を取り入れる流れが強まり、ラテン語だけでなくスペイン語、地域の民俗音楽の語法が教会音楽に入っていった。信仰と地域文化を同じ声で歌おうとした時代の作品である。

聴きどころ

合唱の和音だけでなく、リズムの種類に耳を向けたい。Kyrieでは旋律の揺れと祈りの暗さ、Gloriaでは拍の推進力、Sanctusでは祝祭的な響きが前に出る。声が民俗楽器に乗る瞬間、教会の響きがホールや大地の音へ開くように感じられる。

発展

ラミレス『ミサ・クリオージャ』とアリエル・ラミレス&フェリックス・ルナ『Navidad Nuestra』が国際的に普及、後にニカラグアの『Misa Campesina』(1975)など解放の神学系作品が続いた。メキシコのMariachi Mass、ブラジルのBossa Massなど地域変種が世界に広がった。

出来事

  • 1962-65: 第2バチカン公会議、母語典礼承認
  • 1964: アリエル・ラミレス『Misa Criolla』録音・発表
  • 1975: カルロス・メヒア・ゴドイ『Misa Campesina Nicaragüense』
  • 1987: ヨハネ・パウロ2世来比中の典礼でラテン民俗ミサ普及

派生・影響

現代カトリック典礼音楽の文化適応モデルとして、アジア・アフリカの土着化典礼運動にも雛型を与えた。Nueva Canción・宗教民俗音楽との相互浸透も顕著。

音楽的特徴

楽器声、ギター、チャランゴ、ボンボ・レグエロ、ケーナ、シーク、合唱

リズムチャカレラ、カルナバリート、ビダラ等の民俗リズム、母語典礼

代表アーティスト

  • Ariel Ramírezアルゼンチン · 1947年〜2010

代表曲

日本との関係

日本では合唱団、教会音楽、ラテンアメリカ合衆国音楽のレパートリーとして知られている。クラシック合唱の演奏会で取り上げられることもあり、スペイン語の発音や民俗リズムをどう扱うかが演奏上の課題になる。一般的なポップスとしてではなく、合唱愛好家の間で息の長い作品だ。

初めて聴くなら

まず「Misa Criolla: Kyrie — Ariel Ramírez (1964)」で、祈りの旋律と打楽器の距離を聴く。続けて「Misa Criolla: Gloria — Ariel Ramírez (1964)」を聴くと、同じミサの中で静けさと祝祭がどう変わるか分かる。作品全体で聴くならSanctusやCredoまで通したい。

豆知識

Criollaは、ラテンアメリカ合衆国で生まれたもの、土地に根ざしたものを指す言葉として使われる。ここではヨーロッパ由来のミサ形式を、アルゼンチンやアンデス周辺のリズムで歌うという意味が強い。宗教曲でありながら、地域の声を前面に出した作品でもある。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図750年代1960年代ミサ・クリオージャミサ・クリオージャグレゴリオ聖歌グレゴリオ聖歌凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
ミサ・クリオージャを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

アルゼンチン · 1964年前後 (±25年)

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