ショーロ
19世紀末リオデジャネイロで成立した、ヨーロッパのポルカ・マズルカとアフロ・ブラジル系リズムが融合したインスト中心の都市音楽。
どんな音か
フルート、ギター、カバキーニョ(小型の弦楽器)が主役で、特にフルートが高速で装飾的なメロディラインを紡ぐ。リズムは16分音符の刻みが軽く進み、2拍子でありながらも浮遊感を保つ。ハーモニーはヨーロッパの古典和声を踏襲しつつも、アフロ・ブラジリアン的な予期しないコード進行が入る。速度は毎分180を超えることもあり、奏者の即興的なやり取りが楽曲の核。録音技術が進む中でも、ライブパフォーマンスの即時性が最大の価値。
生まれた背景
聴きどころ
フルートとギターの会話。一方が主旋律を奏でれば、もう一方が応答する。その応答が予測可能か、それとも意外性があるか。複数楽器のアンサンブルでありながらも、各パートがはっきり聞こえるバランス。速度の中での正確性とニュアンスの両立。即興のどこが即興で、どこが事前に決められた構成か。
発展
1920~30年代の最盛期を経て、サンバ・ボサノヴァに後景化したが、1970年代以降の復興運動でパウリーニョ・ダ・ヴィオラ、エルメート・パスコアル、ヤマンドゥ・コスタが現代化を進めた。21世紀のショーロ・カランガ、ブラジル国内・海外フェスティバルが盛ん。
出来事
- 1870: ショーロ的合奏開始
- 1922: ピシンギーニャ「カリニョーゾ」
- 1973: ピシンギーニャ逝去
- 1979: ショーロ復興運動
派生・影響
サンバ、ボサノヴァ、ブラジル・ジャズ、現代世界音楽に深い影響。
音楽的特徴
楽器カヴァキーニョ、ヴィオラ、フルート、ピアノ、パンデイロ
リズム高速2/4、複雑和声、即興名人芸
代表アーティスト
- Pixinguinha
- Yamandu Costa
代表曲
- Carinhoso — Pixinguinha (1937)
Tocata — Yamandu Costa (2005)
日本との関係
初めて聴くなら
Pixinguinha『Carinhoso』(1937)。ショーロ史における最高傑作の一つで、メロディの美しさと技法が完璧に調和。フルートとギターの掛け合いが明確で、初心者にも親しみやすい。より現代的な解釈を求めるなら、Yamandu Costa『Tocata』(2005)。7弦ギターの魔術的な技巧が全面に出ている。
