エレクトロニック

ショーロ

Choro

リオデジャネイロ / ブラジル / 南米 · 1870年〜

別名: Chorinho

19世紀末リオデジャネイロで成立した、ヨーロッパのポルカ・マズルカとアフロ・ブラジル系リズムが融合したインスト中心の都市音楽。

どんな音か

フルート、ギター、カバキーニョ(小型の弦楽器)が主役で、特にフルートが高速で装飾的なメロディラインを紡ぐ。リズムは16分音符の刻みが軽く進み、2拍子でありながらも浮遊感を保つ。ハーモニーはヨーロッパの古典和声を踏襲しつつも、アフロ・ブラジリアン的な予期しないコード進行が入る。速度は毎分180を超えることもあり、奏者の即興的なやり取りが楽曲の核。録音技術が進む中でも、ライブパフォーマンスの即時性が最大の価値。

生まれた背景

19世紀末のリオデジャネイロで、ヨーロッパからの移民がもたらしたポルカマズルカと、アフロ・ブラジル系の奴隷やその子孫による即興音楽が出会った結果。当初は下層階級の音楽として始まり、20世紀初頭には中産階級にも浸透。1950年代から1970年代にかけて、ショーロは『楽器音楽の最高峰』として音楽学者の関心を集め、ブラジル国家文化としての地位を獲得した。現在も、ブラジルの音楽大学でアンサンブル科目として教えられている。

聴きどころ

フルートとギターの会話。一方が主旋律を奏でれば、もう一方が応答する。その応答が予測可能か、それとも意外性があるか。複数楽器のアンサンブルでありながらも、各パートがはっきり聞こえるバランス。速度の中での正確性とニュアンスの両立。即興のどこが即興で、どこが事前に決められた構成か。

発展

1920~30年代の最盛期を経て、サンバ・ボサノヴァに後景化したが、1970年代以降の復興運動でパウリーニョ・ダ・ヴィオラ、エルメート・パスコアル、ヤマンドゥ・コスタが現代化を進めた。21世紀のショーロ・カランガ、ブラジル国内・海外フェスティバルが盛ん。

出来事

  • 1870: ショーロ的合奏開始
  • 1922: ピシンギーニャ「カリニョーゾ」
  • 1973: ピシンギーニャ逝去
  • 1979: ショーロ復興運動

派生・影響

サンバ、ボサノヴァ、ブラジル・ジャズ、現代世界音楽に深い影響。

音楽的特徴

楽器カヴァキーニョ、ヴィオラ、フルート、ピアノ、パンデイロ

リズム高速2/4、複雑和声、即興名人芸

代表アーティスト

  • Pixinguinhaブラジル · 1911年〜1973
  • Yamandu Costaブラジル · 1996年〜

代表曲

日本との関係

日本ショーロが知られるようになったのは、1970〜1980年代のワールドミュージック・ブーム期。ボサ・ノーバやサンバに比べ、器楽中心で直接的なダンス性がないため、ある程度の音楽リテラシーを要する。しかし、ギタリストやフルート奏者の間では、ショーロの高度な技法と即興性が尊敬されており、クラシック音楽院でも参考曲目として扱われることがある。

初めて聴くなら

Pixinguinha『Carinhoso』(1937)。ショーロ史における最高傑作の一つで、メロディの美しさと技法が完璧に調和。フルートとギターの掛け合いが明確で、初心者にも親しみやすい。より現代的な解釈を求めるなら、Yamandu Costa『Tocata』(2005)。7弦ギターの魔術的な技巧が全面に出ている。

豆知識

ショーロは『泣く』という意味のポルトガル語が語源で、最初は『悲しい音楽』という意味だった。その後、パターンや形式を指すようになり、20世紀には『楽器が泣くように歌う技法』を意味するようになった。Pixinguinha は20世紀初頭のショーロ作曲家で、何百もの曲を残しており、ブラジル音楽史における位置付けはビートルズに比肩するものがある。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1870年代1910年代1950年代ショーロショーロサンバサンバボサノヴァボサノヴァ凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
ショーロを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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