アボリジニ・ロック
豪先住民アボリジニのバンド/シンガー。Yothu Yindi、Geoffrey Gurrumul Yunupingu、Baker Boyら。
どんな音か
生まれた背景
聴きどころ
ディジュリドゥの倍音に耳を傾けてほしい。循環呼吸(息を吸いながら頬の空気で吹き続ける)で生まれる「ブーン」の上に、奏者の喉でディンゴ(豪先住の野犬)や鳥の鳴き真似が乗ることがある。これは伝統的なソング・ライン技法で、現代の録音でも残されている。歌唱では、Yolngu語の鼻に抜ける高音やメリスマ、英語フレーズへの切り替えに注目。Yothu Yindi『Treaty』の冒頭、ディジュリドゥだけのイントロからバンドが入ってくる瞬間、これがアボリジニ・ロックの核心だ。
代表アーティスト
- Yothu Yindi
- Geoffrey Gurrumul Yunupingu
- Baker Boy
代表曲
- Djapana (Sunset Dreaming) — Yothu Yindi (1991)
- Wiyathul — Geoffrey Gurrumul Yunupingu (2008)
- Cool As Hell — Baker Boy (2017)
日本との関係
初めて聴くなら
最初の一曲はYothu Yindi『Treaty』(1991)。ディジュリドゥとロックバンドの結合の完成形で、英語とYolngu語の交代も明快に聴き取れる。続いてGeoffrey Gurrumul Yunupingu『Wiyathul』、こちらは静かなアコースティック・バラードで彼の声が直接届く。新世代を聴きたいならBaker Boy『Cool As Hell』、Yolngu語ラップの軽やかな自信がある。週末の朝、窓を開けて流すと部屋が一気に大陸の風になる。
豆知識
Yothu Yindi は1992年にARIA Award(豪のグラミー)で複数部門を受賞、先住民バンドとしてオーストラリア音楽史上最大の成功例になった。バンド名はYolngu語で「子と母」を意味し、二つの氏族の関係性を表す。リーダーのMandawuy Yunupinguは2013年に亡くなったが、彼の甥でラッパーのBaker Boyが後を継ぐ形で活躍している。ディジュリドゥは伝統的に男性のみが演奏する楽器で、観光地で女性が吹くことには現地の長老から異論がある、というデリケートな文化的背景もある。
