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中東・北アフリカ

ヒットチャートに外国曲が入り込む隙はほとんどない。Spotify上位はほぼ全曲が国内アーティストで占められ、海外勢の出番は驚くほど少ない。理由ははっきりしている。市場を3つの自国ジャンルが分け合っているからだ。ラップ系のTurkish trap(EzhelやBen Feroが広めた)、磨き上げられた若手のTurkish pop(Aleyna Tilkiら)、そしてアラブ風の節回しと嘆きの情念をまとった労働者階級の大衆歌謡トルコ・ポップアラベスク)――支持する世代も階層も異なる、この3つだ。その内向きさを象徴するのが、2025年最大級のヒット「Hileli」である。今年デビューしたばかりの6人組ガールグループmanifestと、70代の国民的歌手Ajda Pekkanが世代を超えて組んだ一曲だ。海外曲ではなく、こうした自国内のコラボがチャートの頂点に立つ。

自国アーティストの人気曲

  • Hileli ズルいmanifest ft. Ajda Pekkan · 2026
    Turkish trap / ポップ

    Spotifyトルコ首位(100万再生/日超)。Z世代Turkish trap集団manifestと70歳超の伝説的歌手Ajda Pekkanの世代横断コラボ。

  • Geceler 夜々Ferdi Tayfur · 1975

    トルコ・ポップ黄金期の代表曲。アラブ風弦楽器とラメント(嘆き)唱法で「夜が来るたびに君を想う」と歌う。2020年代に若者世代が再発見。

海外アーティストの人気曲

世代・地域・経済による違い

聴く音楽は世代と階層できれいに分かれる。若い男はトラップ(Ezhel、Cakal)、若い女はポップとガールグループ(Aleyna Tilki、manifest)、中高年と地方の労働者層はトルコ・ポップ(Ferdi Tayfur、Müslüm Gürses)――この三層構造だ。中高年層は加えて、Ajda PekkanやSezen Aksuに代表される往年のトルコ・ポップにも親しんでいる。注目すべきはトルコ・ポップの位置の変化である。長らく「下層階級の音楽」という負のレッテルにさらされてきたが、2020年代に入って評価が一変した。配信を通じて若い世代が再発見し、トラップポップのアーティストがその名曲をサンプリングや再解釈で取り込みはじめたのだ。見下されてきた音楽が表舞台の中央に座り直した――それはトルコポップ史そのものが書き換わりつつある兆しだ。

参考資料

- Spotify Turkey Daily: https://kworb.net/spotify/country/tr_daily.html