伝統・民族

タランテッラ

Tarantella

ナポリ・プーリア / イタリア / 南欧 · 1500年〜

南イタリアの急速6/8舞踏曲。

どんな音か

快活な 6/8 拍子が特徴で、テンポは毎分 140 を超えることもある。主要楽器はギター、マンドリン、ときどきアコーディオン、小太鼓。各楽器が複雑に絡み、特に弦楽器の速いピッキングが躍動感を生む。ボーカルが加わることもあるが、器楽が中心。メロディはシンプルながらも、装飾音の速さによって複雑に聞こえる。踊りと一体で、男女がペアで踊ることが標準。音質はライブパフォーマンスの興奮を優先。

生まれた背景

タランテッラは南イタリア(ナポリ、シチリア地域)の民族舞踏で、その名前は『タランチュラ(蜘蛛)』に由来するという説が有力。「タランチュラに刺された人が、その毒を汗によって追い出すために踊る」という民間伝説から来ているとされるが、それが事実か民話かは不確かである。少なくとも 15 世紀から文献に記録されており、ルネッサンス期にはヨーロッパ全域で知られていた。

聴きどころ

6/8 拍子のリズムの快活さ。複数の弦楽器が作る複雑さ。各楽器の役割分担。装飾音の速さと正確性。踊り心をくすぐるテンポ感。地域バリエーション(ナポリ、シチリア)。

発展

20世紀後半に民族学者Ernesto De Martinoが研究で再注目。1970年代以降Eugenio Bennatoらにより都市的フォーク復興が起きた。La Notte della Tarantaが大規模音楽祭として定着。

出来事

  • 1959: De Martino『La terra del rimorso』
  • 1998: La Notte della Taranta初開催
  • 1976: Eugenio Bennatoフォーク復興

派生・影響

Pizzica、Tammurriata、Saltarelloなど地域変種を派生。

音楽的特徴

楽器タンブレッロ、マンドリン、アコーディオン、声

リズム急速6/8、加速進行

代表アーティスト

  • Eugenio Bennatoイタリア · 1970年〜
  • Nuova Compagnia di Canto Popolareイタリア · 1972年〜

代表曲

日本との関係

タランテッラ日本で知られるようになったのは、イタリア民族音楽への一般的な関心が高まった 1980 年代から。クラシック音楽の世界では、リスト『ラ・カンパネッラ』などにタランテッラの影響が見られ、音楽学の文脈で参照されることもある。しかし、イタリア民族音楽としての認知度は、イタリア系食文化への関心に比べ低い。

初めて聴くなら

Eugenio Bennato『Brigante se More』(1979)。南イタリアの音楽家による、タランテッラの現代的解釈。快活さと民族的深さが両立している。より素朴で伝統的なアプローチなら、『タランテッラ Napoletana』の複数バリエーション。地域による解釈の違いが楽しめる。

豆知識

タランテッラは 16 世紀のルネッサンス・ダンス・マニュアルに記録されており、『ヨーロッパ最古の民族舞踏の一つ』として音楽史上の重要性が認識されている。20 世紀初頭の音楽学者たちは、タランテッラの神秘性に魅了され、その起源を古代ギリシャにまで遡ろうとした。Eugenio Bennato はシチリア出身で、タランテッラとさまざまなジャンルの音楽を融合させることで、南イタリア音楽の新しい可能性を切り開いた。

影響・派生で結ばれたジャンル

タランテッラを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

タランテッラ の系譜全体図(多段)を見る

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イタリア · 1500年前後 (±25年)

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