カンツォーネ・ナポレターナ
ナポリの抒情歌謡伝統。
どんな音か
カンツォーネ・ナポレターナは、ナポリで育った抒情歌謡の伝統。明るい太陽、港町、恋、別れ、郷愁を、伸びやかな旋律と情熱的な歌唱で描く。「O sole mio」や「Torna a Surriento」のような曲は世界的に知られ、オペラ歌手から街の歌手まで幅広く歌ってきた。大衆歌謡でありながら、旋律の強さは非常に洗練されている。
生まれた背景
19世紀のナポリで、祭り、出版楽譜、カフェ、劇場文化を背景に発展した。1880年代以降のピエディグロッタ祭は新曲発表の場として大きな役割を果たした。移民によってアメリカ合衆国や南米にも広がり、Enrico Carusoの録音はナポリ歌謡を国際的な声楽レパートリーへ押し上げた。
聴きどころ
まず旋律の大きな弧を聴く。歌は言葉を細かく語るより、母音を伸ばして感情を開くことが多い。伴奏はギターやマンドリンの軽さを持ちながら、サビで一気に胸を張る。観光的に明るい曲だけでなく、別れや移民の痛みを歌う曲では、陽気さの裏に深い郷愁がある。
発展
1880年代から1920年代の黄金期にCaruso、Gigli等オペラ歌手が普及させた。第二次大戦後は伝統と現代の両潮流に分岐。Pino DanieleやRoberto Murolo等が継承。
出来事
- 1839: 「Te voglio bene assaie」
- 1880: 「Funiculì Funiculà」
- 1898: 「O sole mio」
- 1902: Caruso最初の録音
派生・影響
イタリアSanremo歌謡、世界的スタンダード「O sole mio」「Torna a Surriento」。
音楽的特徴
楽器マンドリン、ギター、ピアノ、アコーディオン、声
リズム4/4または3/4の歌曲形式、明確な歌唱旋律
代表アーティスト
- Enrico Caruso
- Roberto Murolo
代表曲
- Funiculì Funiculà (1880)
- O sole mio — Enrico Caruso (1916)
Torna a Surriento — Enrico Caruso (1911)
日本との関係
初めて聴くなら
入口は「O sole mio — Enrico Caruso (1916)」。旋律の強さと声楽的な広がりが分かる。郷愁の深さを聴くなら「Torna a Surriento — Enrico Caruso (1911)」、より親密なナポリ語の味わいを知るならRoberto Muroloの録音がよい。
豆知識
多くのカンツォーネ・ナポレターナはナポリ語で歌われる。標準イタリア語とは響きが異なり、母音や子音の柔らかさが旋律に強く影響する。世界的な名曲として知られていても、土地の言葉に根ざした歌なのである。
