伝統・民族

タンムリアータ

Tammurriata

カンパニア(ナポリ周辺) / イタリア / 南欧 · 1500年〜

カンパニア地方の大型タンバリン舞踏。

どんな音か

タンムリアータは、大型のタンバリン(打楽器)を中心に、男女が交互に歌う形式。タンバリンの音は相当に大きく、手首を複雑に動かすことで、異なるリズム・パターンが生み出される。歌詞はナポリ方言で、内容は恋愛、社交、人生の喜び。歌い方は感情的で、ビブラートが効いた、やや耳に訴えかけるような質感。全体として、南イタリアの陽気さと熱情が、音として表現されている。複数の奏者による即興的なリズム・アンサンブルも特徴。

生まれた背景

タンムリアータはカンパニア地方(ナポリ周辺)の伝統で、少なくとも16世紀には記録されている。農民や労働者の社交や祭りの場で踊られ、その音楽は庶民の生活感に満ちていた。19世紀のオペラ・ブーム以降、タンムリアータイタリア民俗の象徴として、より高い文化的地位を得た。20世紀のイタリア・ファシズムでも、この音楽は『国民的伝統』として利用されたが、同時に、その本質的な人間的温かみは保持されている。

聴きどころ

タンバリンのリズム・パターンの複雑性を聴き分けること。複数の奏者による即興的な相互作用も注目。歌詞の感情(愛、喜び、社会的アイデンティティ)が、旋律にどう反映されているかに注意。南イタリアの方言と、その音韻体系が、旋律にもたらす影響を理解することも重要。

発展

20世紀後半Roberto De Simone、Nuova Compagnia di Canto Popolareが芸術音楽化。Spakka Neapolisら現代Worldバンドが継承する。

出来事

  • 1972: Nuova Compagnia di Canto Popolare結成
  • 1976: De Simone『La Gatta Cenerentola』

派生・影響

Tarantella、Pizzicaの姉妹形式。

音楽的特徴

楽器Tammorra(大型タンバリン)、Castagnette、声

リズム2/4または6/8、太鼓連打中心

代表アーティスト

  • Nuova Compagnia di Canto Popolareイタリア · 1972年〜

代表曲

日本との関係

タンムリアータイタリア文化への関心層にのみ知られており、一般的な日本のリスナーへの認知度は非常に低い。ただし、イタリア音楽全般への学術的研究の中では、言及されることもある。

初めて聴くなら

Nuova Compagnia di Canto Popolare『タンムリアータ Nera』(1974年)。この記録は、タンムリアータの真摯な一面を示しており、南イタリアの人生的深さが伝わってくる。夜間に、社交的な雰囲気の中で聴くのが最適。

豆知識

タンムリアータ Nera』というタイトルの『Nera』は『黒い』を意味し、この曲は愛する者の喪失、あるいは社会的な悲しみを歌ったもの。つまり、タンムリアータは祝祭音楽であると同時に、南イタリアの人々の人生的苦しみをも表現する容器として機能している。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1500年代タンムリアータタンムリアータタランテッラタランテッラ凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
タンムリアータを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

イタリア · 1500年前後 (±25年)

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