伝統・民族

ヨイク

Sami Yoik

ノルウェー・スウェーデン・フィンランド / 北欧

別名: Joik / Luohti

サーミ民族の伝統的歌唱。

どんな音か

単一もしくは複数のボーカリストが、言葉ではなく、音声そのものを即興的に作り出す。メロディは自由で、装飾音が豊富。リズムは明確ではなく、呼吸と身体のリズムに従う。楽器は使われず、純粋に人間の声だけ。ヨイク奏者は、特定の人物、動物、風景、感情を音で表現し、聴き手がそれを解釈する。テンポは中速から遅く、何かを招くような、もしくは思い出すような雰囲気。

生まれた背景

ヨイクはサーミ民族の最も古い音楽形式の一つで、その起源は数千年前に遡ると考えられている。北欧(ノルウェー、スウェーデンフィンランド)の北部に住むサーミ人がこの伝統を守り続けており、シャーマニズム的な背景を持つと推測される。20 世紀を通じてヨイクはサーミ文化の象徴として認識され、国際的に保護対象となった。ただし、ノルウェーなどではサーミ人への差別的政策により、ヨイク伝統が一度は衰退しかけた。

聴きどころ

単一ボーカリストの即興性と、その表現の深さ。音声の微妙な変化が、何を表現しているか。リズムの自由さと、その中での統一感。サーミ文化的背景の理解。現代ヨイク奏者による解釈の違い。

発展

1970年代の先住民権利運動で復権。Mari Boineが1989年『Gula Gula』で国際的注目を集めた。2019年にユーロビジョンでKEiiNOがヨイクを取り入れ話題となった。

出来事

  • 1727: 教会による禁制
  • 1989: Mari Boine『Gula Gula』
  • 2017: 映画『Sámi Blood』公開
  • 2019: KEiiNOユーロビジョン6位

派生・影響

Sami Rap、Nordic Ambientへの影響。

音楽的特徴

楽器声(無伴奏が伝統)、ルーンドラム

リズム自由拍、ペンタトニック、循環反復

代表アーティスト

  • Mari Boineノルウェー(サーミ) · 1985年〜
  • Wimme Saariフィンランド(サーミ) · 1995年〜

代表曲

日本との関係

ヨイク日本で知られるようになったのは、1990 年代の北欧文化への関心が高まった時期から。Mari Boine などが国際的なワールドミュージック・スターとして活動し、限定的に日本でも認知されるようになった。しかし、主流音楽市場での位置づけは確立されず、先住民音楽への関心層に限定されている。アイヌ音楽の研究者がヨイクと比較することもある。

初めて聴くなら

Mari Boine『Gula Gula』(1989)。ヨイク伝統の即興性と、現代的なプロデュースが融合した作品。何かを思い出すような、懐郷的な雰囲気が感じられる。より純粋なヨイク奏法を求めるなら、Wimme Saari『Texas』(1995)。フィンランド出身のヨイク奏者による、装飾的で複雑な即興。

豆知識

Mari Boine はノルウェー出身のサーミ人で、北欧の先住民権利運動の象徴的なアーティスト。ヨイクは GNU の理想と結びついており、サーミ民族の自決と文化的独立性の象徴となっている。Wimme Saari はフィンランド出身で、ヨイク奏法を現代音楽に応用しており、その実験的なアプローチは国際的に認識されている。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図0年代500年代ヨイクヨイクルーノ歌唱ルーノ歌唱凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
ヨイクを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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