ラテン・カリブ

ランチェラ

Ranchera

メキシコ / 南米 · 1920年〜

20世紀メキシコで成立した、農村牧場(ランチョ)の感情を歌う愛と喪失の歌曲ジャンルで、マリアッチが伴奏する大衆歌の中核。

どんな音か

メキシコの国民歌曲。マリアッチ楽団(トランペット、バイオリン、ギター)が伴奏し、ボーカルは深く、感情的に『愛』と『喪失』を歌う。テンポは緩やかから中程度。リズムはメキシカンなニュアンス。全体的に『告白』『懺悔』の雰囲気。

生まれた背景

20世紀初頭メキシコ発生。農村(ランチョ)文化と、劇場文化が結合。20世紀中盤、メキシコシティでの商業化を経て、ラテンアメリカ合衆国全域への拡大。後には、メキシコ系移民によってアメリカ合衆国南西部にも伝播。

聴きどころ

ボーカルの『感情的なコントロール』。音が『裂ける』瞬間。マリアッチの各楽器の役割分担(トランペットの『叫び』、バイオリンの『泣き』)。歌詞(スペイン語)が理解できなくても、感情は伝わる。

発展

1950~70年代にホセ・アルフレド・ヒメネスが300曲以上を作曲、メキシコ国民歌の定番となった。21世紀のリラ・ダウンズ、アレハンドロ・フェルナンデスが現代化し、女性パフォーマー(チャベラ・バルガス)による既存ジェンダー規範への異議申し立てもなされた。

出来事

  • 1947: ホセ・アルフレド・ヒメネス作曲家デビュー
  • 1957: ロラ・ベルトラン全盛
  • 1991: チャベラ・バルガス再ブレイク
  • 2014: リラ・ダウンズ・グラミー受賞

派生・影響

マリアッチ、ボレロ、ノルテーニョ、現代メキシコ・ポップ全般に影響。

音楽的特徴

楽器マリアッチ、ギター、声

リズムワルツ3/4・ポルカ2/4・ボレロ系、グリート叫び、メリスマ

代表アーティスト

  • Pedro Infanteメキシコ · 1939年〜1957
  • José Alfredo Jiménezメキシコ · 1947年〜1973
  • Chavela Vargasコスタリカ/メキシコ · 1961年〜2012
  • Vicente Fernándezメキシコ · 1966年〜2021
  • Lila Downsメキシコ/米国 · 1999年〜

代表曲

日本との関係

日本での認知は限定的だが、ラテン・アメリカ合衆国文化愛好家には知られている。Chavela Vargas など、一部の著名ボーカリストは日本でも話題になったことがある。ワールド・ミュージック・カテゴリーでの枠付け。

初めて聴くなら

José Alfredo Jiménez『El Rey』で基本を。Vicente Fernández『Volver Volver』で、より大衆的なアプローチ。Chavela Vargas『La Llorona』で、女性ボーカル、別の感情表現。

豆知識

ランチェラ は『メキシコのアイデンティティ』に直結している。つまり、音楽というより『国民意識の音化』。20世紀のメキシコ映画でも ランチェラ が重要な役割を担い、映像と音が不可分。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1850年代1920年代ランチェラランチェラマリアッチマリアッチ凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
ランチェラを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

メキシコ · 1920年前後 (±25年)

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