ラテン・カリブ

マリアッチ

Mariachi

ハリスコ州 / メキシコ / 南米 · 1850年〜

メキシコ西部ハリスコ州起源の伝統合奏体で、ヴァイオリン、トランペット、ヴィウエラ、ギタロンが共演する国民音楽。

どんな音か

メキシコの民俗音楽の代表的編成。8〜12人の楽団、ヴァイオリン4〜6本、トランペット2〜3本、ヴィウエラ(高音5弦ギター)、ギタロン(低音6弦ベースギター)、エスパニョーラ・ギター(普通のクラシック・ギター)。BPMは80〜130、3拍子のワルツや4拍子の行進曲、6/8拍子のソンが混在する。歌は男性中心、力強い高音シャウトと「グリト(grito、叫び声)」が随所に挟まれる。歌詞はスペイン語、テーマは祖国愛、母、恋愛、酔いどれ、復讐。衣装は銀ボタン付きの黒いチャロ・スーツに大きなソンブレロ。

生まれた背景

19世紀後半のメキシコ・ハリスコ州ココーラ村周辺で、農村の小規模楽団として発展。当初はヴァイオリン、ハープ、ギターの編成。1920年代にメキシコシティに進出し、トランペットを導入(これが現代マリアッチを決定的に変えた)。1934年のラサーロ・カルデナス大統領就任式での演奏で国民的音楽として承認された。1936〜50年代の「メキシコ黄金期映画」(ペドロ・インファンテ、ホルヘ・ネグレテら歌手俳優)で世界に広まり、現在もメキシコのナショナル・アイデンティティの中心。

聴きどころ

トランペットの「パパパパー」というファンファーレ的なリフ。ヴァイオリン群のユニゾン旋律と、その下を支えるギタロンの低音。歌い手の「グリト」(歌の途中の叫び声、感情の頂点で出す)。ライブでは観客もグリトで応える。曲の最後の決めポーズも様式化されている。

発展

1930~50年代のラジオと映画黄金期にホルヘ・ネグレテ、ペドロ・インファンテが「歌うチャロ」として全国化し、ハリウッドにも影響を与えた。1950年以降ホセ・アルフレド・ヒメネスが作曲家として、ビセンテ・フェルナンデスが歌手としてマリアッチの古典化を完成させた。2011年にユネスコ無形文化遺産登録。

出来事

  • 1821: メキシコ独立
  • 1907: ヴァスケス・マリアッチ初の国際公演
  • 1934: ラジオ・メキシコで定期放送
  • 1945: 「マリアッチ・バルガス・デ・テカリトラン」結成
  • 2011: ユネスコ無形文化遺産登録

派生・影響

ランチェラ、メキシコ・ボレロ、ノルテーニョ、ラテン・ポップ全般に深い影響。

音楽的特徴

楽器ヴァイオリン、トランペット、ヴィウエラ、ギタロン、声

リズム中速3/4と2/4、合奏・独唱の交替、ランチェラ進行

代表アーティスト

  • Jorge Negreteメキシコ · 1936年〜1953
  • Pedro Infanteメキシコ · 1939年〜1957
  • José Alfredo Jiménezメキシコ · 1947年〜1973
  • Vicente Fernándezメキシコ · 1966年〜2021

代表曲

日本との関係

日本ではメキシコ料理レストランのBGMとして親しまれている程度だが、東京のJalisco マリアッチ、横浜の楽団があり、結婚式やイベントで活動している。映画『リメンバー・ミー』(2017)で世界的にマリアッチへの関心が再上昇した。

初めて聴くなら

1曲なら、マリアッチ Vargas de Tecalitlán『La Negra』(古典)。ハリスコ州の代表曲。歌付きなら、Pedro Infante『Cielito Lindo』、Vicente Fernández『El Rey』(1971)。最近のものなら、Christian Nodal『Adiós Amor』(2017)。

豆知識

マリアッチ」の語源は諸説ある。フランス語の「mariage(結婚式)」がメキシコ訛りになったという説が一般的だが、ハリスコ州の研究者たちは先住民コラ族の言葉から来ているとする説を主張している。メキシコでは1月21日が「マリアッチの日」で、ハリスコ州ココーラ村で年間最大の祭が開かれる。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1700年代1850年代1920年代マリアッチマリアッチソン・ハロチョソン・ハロチョランチェラランチェラ凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
マリアッチを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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