古典

パンソリ

Pansori

全羅道 / 韓国 / 東アジア · 1700年〜

別名: 판소리 / Korean Narrative Singing

韓国の一人語り音楽劇。歌い手と鼓手二人で長編物語を演じる。

どんな音か

パンソリは、韓国の一人語り音楽劇。ソリクンと呼ばれる歌い手が、太鼓の鼓手コスの伴奏と掛け声を受けながら、長大な物語を歌、語り、身振りで演じる。声は美しく整えるだけでなく、かすれ、叫び、笑い、泣きまで含む。物語を一人の身体で立ち上げる、非常に濃密な舞台芸能である。

生まれた背景

18世紀頃、朝鮮王朝後期の民衆芸能として発展し、後に両班層にも受け入れられた。代表的な演目には「春香歌」「沈清歌」「興甫歌」などがある。歌い手は長年の修練で声を鍛え、物語の人物を演じ分ける。20世紀以降は国楽として制度化され、ユネスコ無形文化遺産にも登録された。

聴きどころ

最初は声の荒さに驚くかもしれないが、そのざらつきが感情と物語を運ぶ。太鼓は単なる伴奏ではなく、掛け声で歌い手を励まし、場を動かす相棒である。歌われる部分と語られる部分の切り替え、笑いから悲しみへの急な変化に注目したい。字幕付き映像で見ると、身振りの意味も分かりやすい。

発展

20世紀には金昭姫・朴東鎮ら名唱が録音・舞台化を通じて芸を高めた。1964年に重要無形文化財第5号に指定され、2003年にユネスコ「人類の口承及び無形遺産の傑作」第二陣に宣言された。林権沢監督の映画『風の丘を越えて〜西便制』(1993年)で世界に知られた。

出来事

  • 1762年頃: パンソリの初出文献。
  • 1873年: 申在孝『春香歌』整備。
  • 1964年: 重要無形文化財指定。
  • 1993年: 映画『西便制』公開。
  • 2003年: ユネスコ「人類の口承及び無形遺産の傑作」宣言。

派生・影響

唱劇(チャングク、複数役者によるパンソリ的歌劇)、創作パンソリ・現代パンソリ(イ・ジャラム『沙河伝寺女物語』など)を派生させた。

音楽的特徴

楽器声(ソリックン)、ブク(鼓、コス)

リズムチンヤンジョ・チュンモリ・チュンジュンモリ・チャジンモリ・フィモリ・オンモリの六大長短

代表アーティスト

  • 金素姫韓国 · 1925年〜1995
  • 朴東鎮韓国 · 1933年〜2003
  • 安淑善韓国 · 1959年〜
  • 李紫蘭韓国 · 2001年〜

代表曲

日本との関係

日本では韓国伝統芸能、国楽、演劇研究の文脈で紹介されている。韓流ポップとは違う韓国の声の文化として、大学や文化イベントで触れる機会がある。日本浪花節や義太夫のような語り物と比較すると、一人語りと打楽器の関係、声の鍛え方に共通点と違いが見えてくる。

初めて聴くなら

入口は「春香歌 — 朴東鎮 (1972)」。物語性と歌い分けの魅力が分かる代表演目である。深い悲劇性を聴くなら「沈清歌 — 金素姫 (1965)」がよい。初めてなら全編を一気に聴かず、有名場面の映像から入り、声と太鼓の呼吸に慣れるとよい。

豆知識

パンソリでは、聴衆や鼓手の掛け声であるチュイムセが重要である。舞台と客席が完全に分かれるのではなく、反応が歌い手を押し上げる。長い物語を支えるのは、歌い手一人の力だけではなく、場全体の呼吸である。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1500年代1700年代1890年代パンソリパンソリ韓国民謡韓国民謡散調散調凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
パンソリを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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