パンソリ
韓国の一人語り音楽劇。歌い手と鼓手二人で長編物語を演じる。
どんな音か
生まれた背景
18世紀頃、朝鮮王朝後期の民衆芸能として発展し、後に両班層にも受け入れられた。代表的な演目には「春香歌」「沈清歌」「興甫歌」などがある。歌い手は長年の修練で声を鍛え、物語の人物を演じ分ける。20世紀以降は国楽として制度化され、ユネスコ無形文化遺産にも登録された。
聴きどころ
最初は声の荒さに驚くかもしれないが、そのざらつきが感情と物語を運ぶ。太鼓は単なる伴奏ではなく、掛け声で歌い手を励まし、場を動かす相棒である。歌われる部分と語られる部分の切り替え、笑いから悲しみへの急な変化に注目したい。字幕付き映像で見ると、身振りの意味も分かりやすい。
発展
20世紀には金昭姫・朴東鎮ら名唱が録音・舞台化を通じて芸を高めた。1964年に重要無形文化財第5号に指定され、2003年にユネスコ「人類の口承及び無形遺産の傑作」第二陣に宣言された。林権沢監督の映画『風の丘を越えて〜西便制』(1993年)で世界に知られた。
出来事
- 1762年頃: パンソリの初出文献。
- 1873年: 申在孝『春香歌』整備。
- 1964年: 重要無形文化財指定。
- 1993年: 映画『西便制』公開。
- 2003年: ユネスコ「人類の口承及び無形遺産の傑作」宣言。
派生・影響
唱劇(チャングク、複数役者によるパンソリ的歌劇)、創作パンソリ・現代パンソリ(イ・ジャラム『沙河伝寺女物語』など)を派生させた。
音楽的特徴
楽器声(ソリックン)、ブク(鼓、コス)
リズムチンヤンジョ・チュンモリ・チュンジュンモリ・チャジンモリ・フィモリ・オンモリの六大長短
代表アーティスト
- 金素姫
- 朴東鎮
- 安淑善
- 李紫蘭
代表曲
沈清歌 — 金素姫 (1965)
春香歌 — 朴東鎮 (1972)
日本との関係
初めて聴くなら
入口は「春香歌 — 朴東鎮 (1972)」。物語性と歌い分けの魅力が分かる代表演目である。深い悲劇性を聴くなら「沈清歌 — 金素姫 (1965)」がよい。初めてなら全編を一気に聴かず、有名場面の映像から入り、声と太鼓の呼吸に慣れるとよい。
豆知識
パンソリでは、聴衆や鼓手の掛け声であるチュイムセが重要である。舞台と客席が完全に分かれるのではなく、反応が歌い手を押し上げる。長い物語を支えるのは、歌い手一人の力だけではなく、場全体の呼吸である。
