伝統・民族

韓国民謡

Korean Min'yō

韓国 / 東アジア · 1500年〜

別名: 민요 / Minyo (Korean)

韓国各地の伝統的民衆歌謡。地域別に音階・節が異なる。

どんな音か

韓国の各道(地方)に固有の民謡がある。北部の平安道・黄海道系は力強く直線的な旋律で、南部の全羅道系(南道民謡)は装飾が豊かで音の揺れが細かい。最も知られる「アリラン」は地域によって節回しが異なり、京畿アリラン・旌善アリラン・珍島アリランはほぼ別の歌と言ってよいほど違う。伴奏は奚琴(ヘグム)・大笒(テグム)・杖鼓(チャンゴ)・カヤグム(弦楽器)などだが、歌だけの無伴奏形式もある。

生まれた背景

韓国民謡は農耕・漁業・機織りなど労働の場で歌われてきた。朝鮮王朝期には民間の音楽として宮廷とは別の経路で発展し、特に農楽(プンムル)という集団的な打楽器音楽と歌が村祭りを支えた。日本植民地期(1910〜1945年)にSP盤録音を通じて民謡が商業化され、「アリラン」は1926年に映画の主題歌として使われたことで朝鮮半島全土に広まった。

聴きどころ

声の「ノンヒョン」(抑揚——音を押したり引いたりする奏法)に注目する。南道民謡では特に顕著で、一音の中に揺れと圧力の変化がある。金素姫の「アリラン」はメロディーを知っている人でも、声のニュアンスを改めて追うと別の音楽として聴こえる。

発展

20世紀には民謡歌手という職業が成立し、李銀官(イ・ウングァン)・金小姫らが京畿民謡を、安非翠(アン・ビチュイ)らが西道民謡を、金素姫が南道民謡(パンソリも)をそれぞれ代表した。アリランは2012年にユネスコ無形文化遺産に登録された。

出来事

  • 李朝期: 各地民謡の形成。
  • 1926年: 羅雲奎『アリラン』映画公開。
  • 1975年: 京畿民謡が重要無形文化財指定。
  • 2012年: アリランがユネスコ無形文化遺産登録。
  • 2018年: 平昌冬季五輪閉会式でアリラン演奏。

派生・影響

韓国演歌(トロット)・現代K-POPバラードへの旋律的影響、海外コリアン・コミュニティのアイデンティティ歌として機能。

音楽的特徴

楽器チャング、ケンガリ、テピョンソ、ピリ、テグム、声

リズム京畿の柔軟・西道の装飾・南道の力強さなど地域差、長短(リズム型)による進行

代表アーティスト

  • 金素姫韓国 · 1925年〜1995

代表曲

日本との関係

「アリラン」は在日コリアン・コミュニティの中で長く歌い継がれており、日本との関係は深い。1930年代以降の在日音楽文化の核にあり、北朝鮮・韓国・在日の三者がそれぞれ異なる意味を持たせながら歌う曲にもなった。それ以外の韓国民謡日本では知られることが少ない。

初めて聴くなら

金素姫の「アリラン」(1960年)から聴く。旋律自体は単純だが、声の揺れと息の使い方に注目すると、民謡歌唱の技巧が見えてくる。続けて旌善アリランを聴くと、同じ「アリラン」がいかに異なるかが分かる。

豆知識

「アリラン」はユネスコ無形文化遺産に韓国(2012年)と北朝鮮(2014年)が別々に登録した——同一の曲が分断された国家によって別々に申請・承認された例として異例だ。語源は諸説あり、「わが峠」「遠い人」「愛らしい」など複数の解釈が提案されているが定説はない。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1500年代1700年代韓国民謡韓国民謡パンソリパンソリ凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
韓国民謡を中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル

韓国 · 1500年前後 (±25年)

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