ムルガ・ウルグアヤ
ウルグアイ・カーニバルの中核を担う、合唱・諷刺劇・打楽器を組み合わせた仮装合唱劇。
どんな音か
スネアドラム(レドブランテ)、バスドラム(ボンボ)、シンバルの打楽器3点セットが骨格を作り、その上に15〜17人の歌い手たちが合唱を重ねる。声の使い方はオペラでも合唱音楽でもなく、街の広場で拡声器なしに届かせるための張り上げ方に近い。演目は前半の「プレゼンタシオン」(登場・自己紹介)、中盤の「クプレス」(社会や政治への風刺歌)、後半の「サリダ」(退場歌)という構造を持ち、1時間を超えることもある。衣装は原色で、顔には白塗りのメイクがほどこされる。歌と言葉と踊りと笑いが一体化した「劇」だが、楽器は打楽器しか使わない。
生まれた背景
聴きどころ
Agarrate Catalinaの「Civilización」(2007)では、冒頭から合唱の声量が大きく、打楽器の乾いた音が声の下から押し上げる構造がよくわかる。歌詞を追うのが難しい場合は、スペイン語のリズムと声の上下動だけを聴く。特に全員がユニゾン(同じ音)で歌うサビの部分と、声部が分かれて掛け合う部分の対比は、楽器のないこの音楽がどれだけダイナミックなレンジを持つかを示している。
発展
1980年代の民主化後、アンタイランダー、エル・ガジョ・ファニートが世代を作り、現代ではアグルパシオン・ファルタ・イ・レストが代表格となる。アルゼンチン側のムルガ・ポルテーニャと並走するが、ウルグアイ側はより合唱・劇文化の比重が高い。
出来事
- 1908: ムルガ・カディス到来
- 1979: 軍政下の隠れた批評
- 1985: 民主化後の復興
- 2018: ユネスコ候補リスト
派生・影響
ムルガ・スペイン、カンドンベ、現代ラテン・ロックと交差。
音楽的特徴
楽器ボンボ、プラチロ、レドブランテ、合唱、声
リズム中速2/4行進、和声合唱、諷刺脚本
代表アーティスト
- Araca la Cana
- Falta y Resto
- Agarrate Catalina
代表曲
- Civilización — Agarrate Catalina (2007)
- El Viaje — Agarrate Catalina (2010)
- Saludo de Carnaval — Araca la Cana (1990)
El Mundo del Revés — Agarrate Catalina (2013)
El Despertar — Falta y Resto (1985)
日本との関係
初めて聴くなら
豆知識
ムルガの競技大会では、各団体が「何点取れるか」ではなく「観客をどれだけ笑わせ、感動させ、考えさせるか」が評価軸になる。審査員は演目全体の構成、音楽の質、歌詞の社会的鋭さ、衣装の完成度を総合的に採点する。優勝団体はモンテビデオで1年間「その年のムルガ」として語り継がれ、次のカーニバルまで街の話題になる。
