ラーヴァニー
マハーラーシュトラ州の力強い女性舞踊歌で、打楽器ダフとともに演じる官能的・批評的な歌詞と激しいステップが特徴。
どんな音か
ラーヴァニーは打楽器ダフの強打から始まる。ダフは両面を打つ大型の枠太鼓で、連打するたびに低く重い音が部屋全体を満たす。その上で女性の歌い手(ラヴニー)が腰を使った強調動作を交えながら歌う。声は鼻音を使った濃い音色で、マラーティー語の歌詞はしばしば婉曲的な性的比喩や権力批判を含む。テンポは中程度から速め、曲の途中でリズムが倍速になる場面があり、そこで踊り手の動作も急激に激しくなる。かつては男性客向けの興行芸として発達したため、歌詞には挑発的な語りかけが多い。
聴きどころ
ダフのビートが変わるタイミングに注目してほしい。通常の4拍子から、突然2倍速の連打になる瞬間がある。そこが踊り手と観客の関係が最も高まる場面で、演奏者全員の呼吸が合う瞬間でもある。歌い手の声は言葉の子音を強く発音する傾向があり、マラーティー語を知らなくても言葉のリズムが伝わってくる。「Mala Jau De」では歌い出しの低音域から途中で高音へ跳躍する部分が、このジャンルの声の使い方をよく示している。
初めて聴くなら
映像で観ることが前提の音楽なので、YouTubeでタマーシャー(劇場スタイル)のパフォーマンス映像を検索してほしい。ダフの連打と踊り手の足の動きが同期する場面は、音だけでは伝わらない迫力がある。
代表曲
- Mala Jau De (2002)
生まれた背景
マハーラーシュトラ州(現在のインド西部)では18世紀ごろ、ペーシュワー支配下のプネーで現在のラーヴァニーの形式が整ったとされる。もともとは戦場に赴く兵士を鼓舞する歌だったという説もあるが、宮廷や祭礼の場でも演じられた。
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19世紀以降、劇場(タマーシャー)のなかで演劇と結びついて広まり、植民地時代には社会批評の媒体としても機能した。独立後、映画産業がこのジャンルを吸収し、マラーティー語映画のアイテムナンバーとして定着した。
音楽的特徴の詳細
楽器ドーラキ、トゥンタネ、ハルモニウム、マンジーラ、声
リズム強い踊り拍、挑発的詞章、即興問答
発展
20世紀には映画(マラーティー・ヒンディー)を通じて全国に広まり、レーカー・ターワダ・ヴィッターバーイ・ナーラーヤンガーオンカルら踊り手が知られた。2000年代以降は『チャイナラ・チャイナラ』『ピンガー』などボリウッド曲がラーヴァニーをポップ化した。
出来事
- 1750年頃: マラータ宮廷でのラーヴァニー成立。
- 1947年: マラーティー映画でのラーヴァニー描写。
- 2002年: 映画『チョウラング・ハト・サートサット・ラージカマル』。
- 2008年: 映画『ナタランガ』ラーヴァニー再評価。
- 2018年: ストリートに伝わるラーヴァニー保存政策。
派生・影響
ボリウッド・ダンス・ナンバー、マラーティー映画の音楽様式、現代女性表現の文化政治的議論の対象。
日本との関係
豆知識
影響・派生で結ばれたジャンル
系譜図を見る
感触が近い系譜も地域も違うのに、聴くと通じるジャンル
ラーヴァニーが好きな人は、この6つも刺さる可能性が高いです。系譜図には出てこない、意外な隣人たち。
