クロンチョン
インドネシアのポルトガル系を起源とする弦楽ポピュラー音楽。
どんな音か
ゆったりとした3拍子か4拍子のリズムで、チュック(小型ギター)とチュケル(バンジョーに近い弦楽器)が裏拍にブリブリとした音を刻む。フルートまたはヴァイオリンが旋律を担い、コントラバスが低音を支える。ボーカルは艶があって、息多め。音全体が穏やかで、夜の風通しのよい場所で鳴っているような感触がある。「ベンガワン・ソロ」のような曲は旋律がゆっくりと上昇し、下降する。
生まれた背景
聴きどころ
チュックとチュケルの裏拍の弾き方が、クロンチョのリズムグルーヴの中心だ。通常のギターとは違う、軽く乾いた音が一定のパターンで刻まれる。フルートの旋律は装飾が少なくシンプルで、旋律だけを追えば全体の流れがつかめる。
発展
1930年代にゲサン・マルトハルトノ・ワルジャ・ピマンら作曲家・歌手が大衆化し、独立運動期(1945年)には『ブンガワン・ソロ』が国民的愛唱歌となった。1950〜60年代に黄金期を迎え、現在もスラカルタ・ジョグジャカルタを中心に愛好家コミュニティが活発。
出来事
- 16世紀: ポルトガル植民地での起源。
- 1934年: ゲサン『ブンガワン・ソロ』作曲。
- 1945年: 独立運動の象徴歌として広まる。
- 1979年: 第1回全国クロンチョン大会。
- 2010年代: 若手によるクロンチョン現代化運動。
派生・影響
現代インドネシア・ポップ(ポップ・クロンチョン)、マレーシア・ガンブス系音楽との連続性、ファド(ポルトガル)との比較研究の対象。
音楽的特徴
楽器クロンチョン(ウクレレ系)、ヴァイオリン、チェロ、フルート、ベース、声
リズムポルトガル系メロディ、ベース・チェロの規則的拍、マレー語抒情歌詞
代表アーティスト
- ゲサン・マルトハルトノ
代表曲
- Bengawan Solo — ゲサン・マルトハルトノ (1940)
日本との関係
初めて聴くなら
ゲサン・マルトハルトノの「ベンガワン・ソロ」(1940年)を夜に聴く。夕方か夜、音量を絞ったラジオで聴くような距離感が合っている。
