プンムル
韓国の農村集団打楽器・舞踊芸能。
どんな音か
プンムルは、複数の打楽器奏者が列をなして進み、そのリズム・パターンが呼び応答のように絡み合う音楽。主要な楽器は北鼓(大太鼓)、長鼓、小型の手太鼓、銅鑼。各楽器がそれぞれの拍子を持ち、それらが共存することで、個々には単純でも、全体では複雑な多層リズムが成立する。テンポは徐々に上昇していき、終盤にはダンサーも楽器奏者も最高潮に達する。声を出す奏者もおり、その掛け声がリズムの枠を強調する。
生まれた背景
プンムルは農民たちの労働に由来する。田植えや収穫の時季に、集団で作業するときのリズム維持と士気高揚のために、この打楽器アンサンブルが発展した。20世紀には農業機械化により実用性は失われたが、朝鮮半島の文化遺産として国家的に保護されるようになった。地方ごとにスタイルが異なり、湖南左道農楽は韓国南西部の伝統を代表するものとされている。
聴きどころ
まず、各楽器の役割分担を理解すること。北鼓の低い音が土台を作り、長鼓がそれを切り刻むようなリズムを加え、小型の手太鼓が細かく埋める。この層構造を意識しながら聴くと、複雑さの中に秩序を見いだせる。テンポ加速のタイミングと、各楽器がそれにどう対応するかも注目。
発展
1960年代以降、都市化で農村プンムルは衰退したが、1978年に金徳洙らが『サムルノリ』として舞台化し、現代芸術として再生した。1999年に重要無形文化財に指定され、2014年にユネスコ無形文化遺産代表一覧表に登録された。
出来事
- 古代: 農耕儀礼起源。
- 1966年: 湖南農楽が重要無形文化財指定。
- 1978年: 金徳洙ら『サムルノリ』結成。
- 1999年: 全国農楽の文化財統合指定。
- 2014年: ユネスコ無形文化遺産代表一覧表に登録。
派生・影響
サムルノリ(舞台化版)、現代国楽創作、海外コリアン・ディアスポラの民族文化アイデンティティの中核を担う。
音楽的特徴
楽器チャング、プク、ケンガリ、チン、テピョンソ、ナバル、ソゴ
リズムクッコリ・チャジンモリ・フィモリなど長短、舞踊と音楽の統合、ステフン(指揮者)による進行
代表アーティスト
- 金徳洙
代表曲
湖南左道農楽 (1980)
日本との関係
初めて聴くなら
金徳洙による『湖南左道農楽』の演奏。この記録は、プンムルの地方的特性を最も直接的に示すもので、楽器のぶつかり合う音も収録されている。日中の活動的なときに聴くと、リズムの推進力が最も伝わってくる。
豆知識
プンムルは2001年にユネスコの『人類の口承および無形遺産の傑作』に認定された。地方によって楽器構成が異なり、北部と南部では打法も大きく異なる。儀式的な用途と芸能的な用途が並存しており、同じ音楽が文脈によって意味が変わる例として、民族音楽学の重要な事例になっている。
影響・派生で結ばれたジャンル
同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル
- 伝統・民族韓国民謡
