クメール・ロック
1960-70年代カンボジアのポップ/サイケ黄金期。クメール・ルージュに破壊された。
どんな音か
ファズの効いたエレキギターやオルガンに、クメール語の甘く伸びやかな歌唱と独特の旋律装飾が重なる、1960-70年代カンボジアのポップ。欧米のロックンロール、サーフ、ガレージ、サイケデリックロックを土台にしながら、東南アジアならではの華やかさと情感を宿す。
生まれた背景
聴きどころ
西洋サイケのファズギターと、クメール語特有の鼻にかかった旋律装飾の同居が最大の聴きどころ。男女デュエットの甘い掛け合いも、このジャンルの魅力を凝縮している。
発展
シン・シサモット、ロス・セレイソティア、パン・ロンらがスターとなり、デュエットやサイケロックで一時代を築いた。1975年にクメール・ルージュが政権を握ると音楽は禁じられ、主要なスターの多くが虐殺・餓死で命を落とし、文化は壊滅した。後年、海外で発掘・再評価が進んだ。
出来事
- 1959年: プノンペンで近代ポップ文化が興隆(諸説あり)。
- 1970年: ロス・セレイソティアらサイケ系が全盛。
- 1975年: クメール・ルージュ政権成立、音楽禁止とスターの粛清。
派生・影響
後世のカンボジア・ポップ復興、Dengue Feverら西洋でのリバイバル。
音楽的特徴
楽器エレキギター、オルガン、ドラム、ベース、ボーカル
リズムサーフ/ガレージ/サイケのビート、クメール旋律の装飾、ファズギター
代表アーティスト
- Sinn Sisamouth
- Ros Serey Sothea
- Pan Ron
代表曲
- Chnam Oun Dap Pram Muoy — Ros Serey Sothea (1970)
Champa Battambang — Sinn Sisamouth (1965)
Have You Seen My Love — Pan Ron (1973)
日本との関係
近年、日本のレコード・ディガーやワールドミュージック・ファンの間で発掘・再評価が進み、再発盤やコンピレーションが流通している。失われた音楽の発掘という文脈で関心を集めてきた。
初めて聴くなら
シン・シサモット『Champa Battambang』が黄金期の華やかさを象徴する一曲として入りやすい。
豆知識
スターの多くがクメール・ルージュに殺され録音原盤も破壊されたため、現存音源の多くは海外に流れたカセットやレコードから復元されたものだ。
