ガルバ・ダンディヤ
グジャラート州の女神祭ナヴラトリで踊られる円舞・棒舞。
どんな音か
ガルバとダンディヤ・ラースは密接に関連しながら区別される。ガルバは女性が円を描いてゆっくり回りながら踊る——手拍子と小さなステップが基本で、ドーラク(両面太鼓)が軽快に刻む。ダンディヤ・ラースはカラフルな飾り棒(ダンディヤ)を二人一組で打ち合わせながら踊る、テンポが速くなった形式。音楽的にはどちらも、ハルモニウムまたはシンセによる主旋律とタブラ・ドーラクのリズムが骨格で、歌はグジャラート語で女神ドゥルガー(ナヴラトリ祭の主神)への讃歌や民謡を歌う。現代のナヴラトリ会場では打ち込みビートとB-boyスタイルが融合した「fusion garba」も広まっている。
生まれた背景
ナヴラトリ(九夜祭)はヒンドゥー暦の秋(10月前後)に行われる女神への祭礼で、グジャラート州ではもっとも重要な年中行事のひとつだ。ガルバの「garba」はサンスクリット語「garbha(子宮・胎内)」に由来するとされ、生命と創造を象徴する女神を中心に円を描く踊りはその象徴的な表現だと言われる。ダンディヤは棒の打ち合いがクリシュナ神話(ゴーピーたちとラーダーの棒の舞)を起源とするともされるが、詳細は諸説ある。インド独立後、グジャラート出身者がムンバイやデリー、さらに海外へ移民するにつれてナヴラトリ文化も世界に広がった。
聴きどころ
まずドーラクの二拍子系ビートを軸に、歌のコールアンドレスポンスがどう乗るかを追うといい。「Dholida Dhol」のような定番曲では、サビの「ドーリダ・ドール」という掛け声が観衆も一緒に叫ぶ設計になっていて、参加型の音楽だということが分かる。現代のfusion garba音源ではDJサウンドが入り込んでいて、テクノやボリウッドポップとの境界が曖昧になっている点も聴き比べると面白い。
発展
20世紀後半、グジャラート移民の世界的拡散とともに英国・米国・東アフリカ・カリブのインド人コミュニティで盛んに踊られるようになった。ボリウッド映画(『ハム・ディル・デ・チューケ・サナム』『ラーム・リーラー』など)で頻繁に取り上げられ大衆化。
出来事
- 中世: 女神祭儀礼として成立。
- 19世紀: 女神壺(ガルボ)を中心とする踊り様式定着。
- 1980年代: 海外インド人コミュニティでの拡大。
- 2013年: 映画『ラーム・リーラー』。
- 2022年: グジャラート州が国連へガルバのユネスコ登録申請。
派生・影響
ボリウッド・ナヴラトリ・ソング(『ナガダ・サン・ドール』『ドーリー・ターロ』)、海外インド人コミュニティ祭事文化の中核、現代フュージョン・ダンスの素材となる。
音楽的特徴
楽器ハルモニウム、ドール、タブラ、笛、マンジーラ、声
リズムケヘルワー・ダドラ系の踊り拍、円舞・棒舞、女神讃美詞章
代表曲
- Dholida Dhol (2013)
日本との関係
初めて聴くなら
ナヴラトリのお祭り気分を味わいたいなら、現地録音に近い「Dholida Dhol」系の音源を大音量でかけてみてほしい。ドーラクの打撃音が心地よく体に入ってくる。fusion garbaの入門には、ARラフマーンやシャンカル・エフサーン・ロイが手掛けたボリウッド映画のガルバシーンの音楽(たとえば映画『Ram-Leela』2013のナヴラトリシーン)を映像と一緒に見るのもいい。
