伝統・民族

コサック歌

Cossack Songs

ロシア・ウクライナ / 東ヨーロッパ · 1600年〜

ドン・クバン・ザポリージャ・コサックの歌唱伝統。

どんな音か

コサック歌は、ドン、クバン、ザポリージャなどのコサック共同体に関わる歌唱伝統。戦い、遠征、故郷、馬、川、仲間、喪失を、力強い合唱や独唱で歌う。軍歌的な勇壮さだけでなく、長く伸びる旋律と深い哀愁も持つ。東欧の広い草原と軍事共同体の記憶が、声の厚みとして残っている。

生まれた背景

コサックはロシア、ウクライナ、ポーランド・リトアニアなどの境界地域で軍事的、自治的な共同体を形成した。歌は共同体の歴史、正教信仰、軍務、家族との別れと結びつく。20世紀には国家的な合唱団によって舞台化され、Red Army ChoirやKuban Cossack Chorusの録音で広く知られるようになった。

聴きどころ

合唱の低音と旋律の伸びを聴く。勇ましい曲ではリズムがはっきりし、行進や騎馬の感覚が出る。哀歌では声がゆっくり重なり、広い土地の距離感を作る。国家的な軍楽として整えられた録音と、民俗的な歌唱では印象が違うため、両方を比べると伝統の層が見える。

発展

1936年Red Army Choirが「Polyushko Pole」等を世界化。冷戦期のソ連文化外交の柱となった。2016年ウクライナのドニプロペトロフスク・コサック歌はユネスコ緊急保護リストに登録された。

出来事

  • 1936: Red Army Choir国際公演
  • 1965: 「Katyusha」世界普及
  • 2016: ユネスコ緊急保護リスト登録

派生・影響

Red Army Choir、ロシア大衆愛唱歌、ウクライナ合唱伝統。

音楽的特徴

楽器声(男声多声合唱)、バヤン、フルート

リズム自由拍、3声以上の即興多声、男声リード

代表アーティスト

  • Kuban Cossack Chorusロシア · 1811年〜
  • Red Army Choirロシア · 1928年〜

代表曲

日本との関係

日本ではロシア民謡や旧ソ連の合唱団のレコードを通じて、コサック的な歌に触れた世代がいる。「カチューシャ」や「ポーリュシカ・ポーレ」は学校や合唱でも知られた。ただしウクライナとロシア双方の歴史に関わるため、現在は政治的文脈を単純化せずに聴く必要がある。

初めて聴くなら

入口は「Polyushko Pole — Red Army Choir (1934)」。広い草原と合唱の力が分かりやすい。親しみやすい旋律なら「Katyusha — Red Army Choir (1938)」、ウクライナ側の歴史的な歌としては「Oi u luzi chervona kalyna — Kuban Cossack Chorus (1914)」を聴くとよい。

豆知識

コサック歌は国民国家の宣伝歌として使われたものもあれば、共同体の生活から出た民謡もある。勇壮なイメージだけでまとめると、家族との別れや戦死者への嘆きといった重要な感情を見落としてしまう。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1500年代1600年代コサック歌コサック歌ウクライナ・バンドゥーラ音楽ウクライナ・バンドゥーラ音楽凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
コサック歌を中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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