スングラ
1980年代ジンバブエで、コンゴ・ルンバとケニアのベンガを下敷きに成立した、高速ギターと長尺ダンスを特徴とするポピュラー音楽。
どんな音か
ギターが走る。BPMは170前後の高速で、2本のエレキギターが掛け合うように同じフレーズをオクターブ違いで弾いたり、片方がリフを保ちながらもう片方が即興フレーズを重ねたりする。ベースはコンゴ・ルンバ由来の跳ねる弾き方で、ドラムのビートと微妙なずれを作りながら踊りを引き出す。ボーカルはショナ語で歌われ、歌い手が節を投げると観客やコーラス隊が返すコール&レスポンスの形が多い。曲は10分を超えることも珍しくなく、ダンスフロアで延々と体を動かすための音楽として設計されている。
生まれた背景
聴きどころ
ギターが2本以上絡み合う場面で、どちらが「骨格のリフ」でどちらが「装飾のフレーズ」かを聴き分けようとするだけで、音楽の構造が体感できる。コール&レスポンスでボーカルが短い節を投げてコーラスが返す箇所は、テンポが速くても実際のライブでは観客が一斉に声を合わせる場所なので、そこを待ち構えるように聴くとよい。
発展
1990年代にレナード・デンベ「ムバラ」、シスターズ・ティナンビヤらが商業的に大成功し、2000年代にはアレック・マチェソが代表格となる。経済危機下のジンバブエでも結婚式や葬儀に欠かせない音楽として続く。
出来事
- 1984: シンバ・スングラ・スターズ結成
- 1991: レナード・デンベ『ムバラ』
- 2000: アレック・マチェソ全盛期
- 2010: 経済危機下も国民音楽として存続
派生・影響
ルンバ・コンゴレーズ、ベンガ、チムレンガと交差。
音楽的特徴
楽器エレキギター、ベース、ドラム、声
リズム高速4/4、ダブル・ピッキング、ショナ語
代表アーティスト
- Alick Macheso
代表曲
- Tafadzwa — Alick Macheso (2003)
Madhau — Alick Macheso (2000)
Madhau Madhau — Alick Macheso (2005)
Pamuromo Chete — Alick Macheso (1998)
Mai Kweja — Alick Macheso (2000)
日本との関係
日本ではほぼ流通していない。アフリカ音楽の専門ショップやワールドミュージックのイベントでジンバブエ音楽として紹介されることが年に数回ある程度で、Alick Machesoの名を知る音楽ファンはごく少数にとどまる。
初めて聴くなら
Alick Machesoの「Madhau」(2000年)が入門として定番。高速ギターとコーラスのぶつかり方がこのジャンルの典型をよく示している。続けて「Tafadzwa」(2003年)を聴くと、やや落ち着いたテンポでの歌い回しとギターワークの両方が確認できる。
豆知識
「スングラ」という名称の語源は定説がなく、ショナ語で「兎(ウサギ)」を意味するという説と、単に早いリズムの擬音から来たという説がある。命名についての証言がいくつか存在するが、当事者たちの記憶が一致しておらず、音楽史家の間でも結論が出ていない。
