伝統・民族

シナウィ

Sinawi

韓国 / 東アジア · 1850年〜

別名: 시나위

韓国の巫俗音楽起源、即興的合奏形式。

どんな音か

シナウィは複数の楽器奏者が、強固なリズム・サイクル(장단・jangdan)の上で、ほぼ自由に即興演奏する形式。主要な楽器は太鼓(북・buk)、長鼓(장구・janggu)、ピリ(笛)、チョゴク(竹笛)など。各奏者の旋律が独立しながらも、底流のリズム・サイクルで統一される。全体の音響は混沌としているように聞こえるが、その中には厳密な構造が存在する。テンポは徐々に加速していき、終盤には非常に興奮的な状態に到達する。

生まれた背景

シナウィ韓国の巫俗(무당・mudang)伝統に由来する。シャーマンの儀式の中で、複数の楽器奏者が同時に音を出すことで、霊的な空間が作り出されると考えられていた。20世紀には、この形式が世俗化され、芸能としても演奏されるようになった。巫俗の衰退とともに、シナウィは文화유산(文化遺産)として国가적으로 보호되기 시작했다(国家的に保護されるようになった)。

聴きどころ

강단(장단・jangdan)のリズム・パターンを最初に確認すること。一度その脈動が身体に入ると、その上での各楽器の即興が聴き取りやすくなる。テンポ加速のプロセスで、楽器たちがどのように相互作用するかを追跡すること。まるで集団昏睡状態に入っていくような、精神的な変化を音で感じ取る。

発展

20世紀後半、池瑛熙(チ・ヨンヒ)らがシナウィを舞台演奏のレパートリーとして確立し、現代国楽創作に取り入れられた。サンジョの直接の母体として、韓国伝統器楽の即興性を支える基盤となっている。

出来事

  • 南部巫儀礼での起源。
  • 20世紀前半: 職業音楽家への伝授。
  • 1973年: 池瑛熙シナウィ舞台化。
  • 1980年代: 現代創作国楽に導入。
  • 1990年代: 国立国楽院がレパートリー化。

派生・影響

サンジョの即興様式、現代韓国国楽の即興フリーセッション、海外でのコリアン・ジャズ的合奏の素材となる。

音楽的特徴

楽器テグム、ピリ、ヘグム、カヤグム、アジェン、チャング

リズム巫俗長短に基づく即興合奏、対話的旋律展開、シャーマン儀式起源

代表アーティスト

  • 池瑛熙韓国 · 1949年〜1980

代表曲

日本との関係

シナウィ日本の民族音楽研究者には知られているが、一般的なリスナーへの認知は限定的。韓国文化への関心層の中でも、K-popの陰に隠れており、この伝統的形式に到達する人は少ない。

初めて聴くなら

池瑛熙(지영희・Chi Yeong-hee)による『シナウィ・京畿』(1973年)。この演奏は、シナウィの標準的な形式を最も技巧的に示したもので、各楽器の役割が明確。夜間に、身体をリラックスさせた状態で聴くのが理想的。

豆知識

シナウィの即興は、一見自由に見えるが、実は厳格な『rules of engagement(関与のルール)』に基づいている。各楽器奏者は、修行を通じて、このルールを身体に染み込ませる。つまり、シナウィは、『西洋的なルールなき自由』とは異なる、『非西洋的な制約された自由』の体現である。この差異は、音楽哲学の重要な議論の対象になっている。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1850年代1890年代シナウィシナウィ散調散調凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
シナウィを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

シナウィ の系譜全体図(多段)を見る

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