伝統・民族

サレジー

Salegy

マダガスカル / 南アフリカ · 1965年〜

マダガスカル北西部サカラヴァ族の儀礼音楽から発展した、6/8ベースの高速複合リズムを核とした島の代表的ダンス音楽。

どんな音か

サレジーは、マダガスカル北西部から広がった高速のダンス音楽。6/8系の複合リズムが細かく弾み、ギター、アコーディオン、打楽器、コーラスが明るく絡む。曲は軽快だが、リズムの層はかなり複雑で、腰と足を同時に動かすような推進力がある。Jaojobyはこの音楽を国際的に知らしめた代表的人物である。

生まれた背景

サカラヴァ系の儀礼音楽や地域の踊りを土台に、1960年代以降、電気楽器とポップ編成を取り入れて発展した。都市化、ラジオ、カセット流通によって島内で広まり、やがてマダガスカルを代表するダンス音楽として認識された。アフリカ大陸、インド洋、東南アジア的な要素が混ざる島の歴史も響きに表れている。

聴きどころ

拍をまっすぐ数えようとすると迷いやすいので、大きな揺れに身体を預ける。ギターの細かい刻み、ベースの跳ね、コーラスの返しが、それぞれ違う角度から同じ踊りを支える。テンポは速いが音色は明るく、重く押すより軽く回転する感覚がある。ライブ映像を見ると、リズムの意味が一気に分かりやすくなる。

発展

1960~70年代にジョスマン・ピヴェールがエレキ化を進め、1990年代エウセブ・ジャオロが国際フェスに登場。2000年代以降ジャジロ、レジ・グベール、マダム・サラ・ンディアらが世代を更新。コンゴ系ルンバや東アフリカ・ベンガとの交差も進んだ。

出来事

  • 1960s: ジョスマン・ピヴェール電化
  • 1992: エウセブ・ジャオロ仏ツアー
  • 2010: ジャジロ国際フェス進出
  • 2018: ユネスコ無形文化遺産候補リスト

派生・影響

ツァピカ、ヒラ・ガシ、ベンガ、ルンバ・コンゴレーズと交差。

音楽的特徴

楽器アコーディオン、エレキギター、ベース、カイアンバ、ジェンベ、声

リズム高速6/8、3対2の複合、コール&レスポンス

代表アーティスト

  • Jaojobyマダガスカル · 1972年〜

代表曲

日本との関係

日本ではマダガスカル音楽の紹介自体が多くないが、ワールドミュージックの文脈でJaojobyの名前は比較的知られている。アフリカ音楽の棚に置かれることが多いものの、インド洋の島嶼文化として聴くと独自性が見える。日本のリスナーには、複雑なのに明るく踊れるリズムとして新鮮に響きやすい。

初めて聴くなら

入口は「E! Tiako — Jaojoby (1993)」。サレジーのスピード感とコーラスの明るさがよく出ている。続けて「サレジー Be — Jaojoby (1990)」で基本のグルーヴを、「Tay Karam — Jaojoby (2000)」で成熟したバンド感を聴くと、リズムの輪郭がつかみやすい。

豆知識

JaojobyはしばしばKing of サレジーと呼ばれる。サレジーは観光向けの陽気な音楽として消費されることもあるが、地域の儀礼、政治的な歌、島のアイデンティティとも深く結びついている。明るさの裏に土地の記憶がある音楽である。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1940年代1960年代サレジーサレジールンバ・コンゴレーズルンバ・コンゴレーズ凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
サレジーを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

サレジー の系譜全体図(多段)を見る

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