ラテン・カリブ

ナイヤビンギ・ドラミング

Nyabinghi Drumming

キングストン / ジャマイカ / カリブ海 · 1930年〜

ジャマイカのラスタファリ運動ナイヤビンギ会派による、儀礼太鼓と詠唱の伝統。レゲエの霊的母胎。

どんな音か

ナイヤビンギ・ドラミングは、ラスタファリ運動の儀礼で鳴る太鼓と詠唱。低いバスドラム、心臓のように打つファンデ、鋭く応答するリピーターが重なり、声はJahへの祈りやバビロンへの抵抗を歌う。Count Ossieの録音では、レゲエ以前の霊的な鼓動がむき出しに聴こえる。

生まれた背景

1930年代以降のジャマイカで、ラスタファリ運動の集会やグラウンationに結びついて発展した。アフリカ回帰思想、エチオピア皇帝ハイレ・セラシエへの敬意、植民地主義への抵抗が音楽の背景にある。ナイヤビンギのリズムはスカロックステディレゲエの精神的な母胎にもなった。

聴きどころ

三つの太鼓の役割を聴く。低いドラムが地面を作り、中間の鼓動が続き、高い太鼓が言葉のように応答する。歌は派手なメロディより、反復と共同体の声が中心。長く聴くほど、祈りと抵抗が同じリズムに乗っていることが分かる。

発展

1950-60年代にカウント・オジー(オズワルド・ウィリアムズ)が伝統を確立し、ボブ・マーリーら世代を通じてレゲエ音楽の精神的源泉となった。1970年代以降のレゲエ国際化の中で、スタジオ録音(ザ・ミスティック・レヴェレーション・オブ・ラスタファリ等)を通じて世界に紹介された。

出来事

  • 1930: ハイレ・セラシエ即位、ラスタファリ運動勃興
  • 1958: カウント・オジー、ナイヤビンギ太鼓を体系化
  • 1968: ミスティック・レヴェレーション・オブ・ラスタファリ録音
  • 1981: ボブ・マーリー没、ラスタ音楽世界化

派生・影響

ルーツ・レゲエ、ダブ、近年のグローバル・レゲエ運動の中核的霊的・音楽的源泉。レゲエの3拍子リズム『ワン・ドロップ』はナイヤビンギから派生したとされる。

音楽的特徴

楽器バス太鼓、ファンデ太鼓、リペーター太鼓、声、合唱

リズム3層ポリリズム、英語(イヤリック)詠唱、聖書詩篇引用、グランウンディング集会

代表アーティスト

  • Count Ossieジャマイカ · 1950年〜1976
  • The Mystic Revelation of Rastafariジャマイカ · 1968年〜

代表曲

日本との関係

日本ではレゲエ文化を通じてラスタファリの存在が知られ、ナイヤビンギもルーツ・レゲエ好きには重要な源流として聴かれている。サウンドシステム文化の明るい面だけでなく、宗教的な集会音楽としての深さを知る入口になる。

初めて聴くなら

まず「Grounation — The Mystic Revelation of Rastafari (1973)」。儀礼の長い流れと太鼓の構造が分かる。Count Ossieの感覚を聴くなら「Drums of Defiance — Count Ossie (1976)」。よりルーツ寄りには「Tales of Mozambique」もよい。

豆知識

Nyabinghiはリズム名であると同時に、ラスタファリの集会や会派の名前でもある。音楽だけを切り出すより、祈り、食、言葉、共同体の時間と一緒に理解すると深く聴ける。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1930年代1960年代ナイヤビンギ・ドラミングナイヤビンギ・ドラミングレゲエレゲエ凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
ナイヤビンギ・ドラミングを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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