伝統・民族

マリネラ

Marinera

ペルー / アンデス · 1850年〜

ペルー国民舞踊で、アフリカ系・先住民・スペイン系のリズムが融合した、ハンカチを振って踊る求愛舞踊。

どんな音か

4分の4拍子で中程度のテンポ。男女が向かい合って、女性がハンカチを振り、男性が足下で複雑なステップを踏む。音楽的には、ギターの弾き語りにパーカッションが加わる。アフロペルーノの切迫したリズム感、スペイン系の抒情的なメロディ、先住民系の装飾音が同居し、緊張と緩和の往復が曲の構造を成す。

生まれた背景

19世紀半ばのペルーで、アフロペルーノの音楽とスペイン系のメロディ、先住民の舞踊要素が融合して生成された。ペルーの国民舞踊化は20世紀に進み、政治的・文化的なアイデンティティの象徴となる。マリンバと同じく、複数文化が植民地化と奴隷制度の歴史を経由して一つの芸術形式に昇華したケース。

聴きどころ

踊り手のハンカチ振りと音楽の同期を想像しながら聴くと、どのセクションが『求愛の始まり』で、どこが『クライマックス』かが自動的に聞こえてくる。ギターとパーカッションの関係、特にギターが『主張』する時点とパーカッションが『主張』する時点の入れ替わりの構造をつかむと、南米舞踊音楽の身体感覚が体験できる。

発展

20世紀前半に首都リマで商業化され、1986年に毎年ヌエバ・トレヒージョで国際マリネラ大会が開催されるようになった。アフロ・ペルー人音楽復興運動とも結びつく。

出来事

  • 1879: 太平洋戦争
  • 1893: 「マリネラ」名称化
  • 1960: アフロ・ペルー・マリネラ復興
  • 1986: ヌエバ・トレヒージョ国際大会

派生・影響

サマクエカ、チリ・クエカ、アフロ・ペルー、現代ペルー・フォークと交差。

音楽的特徴

楽器ギター、カホン、ハープ、声

リズム中速6/8、ハンカチ振り、男女ペア

日本との関係

南米音楽への関心が高まった1990年代以降、ラテン音楽の入門として日本でも認知されるようになった。ただし民族舞踊という文脈で『見もの』としての方が『聴きもの』より優先される傾向にあり、音声だけで深く聴き込む層は限定的。

初めて聴くなら

まずは舞踊動画を一度見て、ハンカチの振り方と音の関係を頭に入れてから、同じ曲を音だけで聴くことを勧める。その後、複数の歌手バージョンを聴き比べると、同じ『マリネラ』でも歌唱スタイル(スピード感や抒情性)で曲の表情が変わることに気づく。

豆知識

毎年11月第1日曜日は、ペルーの『マリネラの日』。全国でマリネラのコンテストが開催される。ペルーの外交官や文化人は、国外でマリネラを『ペルーを象徴する音楽舞踊』として積極的に紹介する。ペルー国内では地域により若干の音楽的バリエーション(北部型、中部型など)があり、学者の間では分類議論が続いている。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1700年代1850年代マリネラマリネラフェステホフェステホ凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
マリネラを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

マリネラ の系譜全体図(多段)を見る

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