古典

崑曲

Kunqu

蘇州崑山 / 中国 / 東アジア · 1550年〜

別名: 崑劇 / Kunshan Qiang

明代に蘇州崑山で成立した、中国最古の戯曲様式。

どんな音か

崑曲の歌唱は極めて精妙で、一音に数拍かけることが珍しくない。リズムは規則的というより流動的で、台詞と歌の境界が曖昧。楽器は琵琶と笛が主で、歌とかけ合う形で組み込まれる。全体のテンポは遅く、舞台上の一挙一動が見える時間が確保されている。漢文の古典を舞台化しているため、一語一語が意味を持ち、言葉の重みが音に反映している。

生まれた背景

明代の蘇州(崑山地域)で成立した戯曲様式。洗練された文語文を使い、社会的地位の高い読み書きできる階級向けの娯楽として出発した。その後、清代には帝室の好みの対象となり、宮廷内で改変・洗練されさらに優雅になった。民国期以降は上海などの大都市でも上演され、20世紀後半には保護対象の古典として認識されるようになった。

聴きどころ

歌い手の声帯のコントロール、一音がどう開始してどう終わるか。楽器が歌のどの部分で入り、どう退出するか。漢文のリズムと音楽的リズムの食い違いと調和。舞い手の足音が含まれるライブ録音での、音と動きの同期。

発展

清代後期に京劇の興隆で大衆人気は失われたが、文人愛好家による継承が続いた。20世紀には俞振飛・朱伝茗らが伝承を担い、1956年の『十五貫』復活公演で再認識された。2001年のユネスコ無形文化遺産登録が決定打となり、2004年の白先勇プロデュース青春版『牡丹亭』が大学生世代に再ブームをもたらした。

出来事

  • 1561年頃: 魏良輔の崑山腔改良。
  • 1598年: 湯顕祖『牡丹亭』。
  • 1956年: 復活公演『十五貫』。
  • 2001年: ユネスコ「人類の口承及び無形遺産の傑作」第一陣として宣言。
  • 2004年: 白先勇青春版『牡丹亭』初演。

派生・影響

京劇・川劇・湘劇・贛劇など中国全土の地方戯曲の祖であり、中国伝統舞台美学の基礎を提供した。

音楽的特徴

楽器曲笛、笙、簫、琵琶、三弦、月琴、板鼓、声

リズム曲牌体、典雅で緩慢な旋律、四声に厳格に従う詞章

代表アーティスト

  • 俞振飛中国 · 1930年〜1993
  • 張継青中国 · 1957年〜2022

代表曲

日本との関係

崑曲日本の能や歌舞伎の形成に影響を与えたと考えられるが、直接の系統は明確ではない。学術的な研究の対象になることはあるが、一般的な認知度は低い。時折、大学の東洋演劇科で上演されることもある。

初めて聴くなら

『牡丹亭・遊園驚夢』張継青(1982年)。牡丹亭は崑曲の代表作で、特に遊園驚夢の場面は音楽的ハイライト。できれば映像版を見ることで、音楽と舞踊・衣装の総合芸術性が理解できる。

豆知識

牡丹亭は17世紀の戯曲で、原作者の湯顯祖は当時の文人官僚。このテキストは明清時代に無数の翻案を生み、音楽化されてきた。版本によって歌われる曲が異なるため、同じ崑曲であっても時代と地域で微妙に異なる。2001年、崑曲はユネスコ無形遺産第1号に登録された。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図900年代1550年代1790年代1850年代1900年代崑曲崑曲南管南管京劇京劇黄梅戯黄梅戯越劇越劇凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
崑曲を中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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