古典

キャンディアン音楽

Kandyan Dance Music

キャンディ / スリランカ / 南アジア · 1500年〜

スリランカ中央高地の宮廷舞踊伴奏音楽。

どんな音か

キャンディアン音楽はスリランカ中央高地キャンディの宮廷舞踊(キャンディアン・ダンス)に付随する太鼓音楽が中核だ。ゲダ・バラ(両面太鼓)が主役で、複雑なリズムパターン(ヴァンナマ)を演奏しながら踊り手の動きに呼応する。音量は大きく、太鼓の音は野外の寺院祭礼にも届く。テンポは遅い部分から徐々に加速し、クライマックスに向けて激しくなる。ハヤ(横笛)とタラン・パトゥン(シンバル)が加わることもある。

生まれた背景

キャンディ王国(1469〜1815年)はスリランカ最後の独立王朝で、ポルトガルオランダイギリスの植民地化に対して最後まで抵抗した。宮廷の儀礼と仏教の祭典(エサラ・ペラヘラ祭)が音楽を発展させた主要な場だった。1815年にイギリスに滅ぼされた後も、音楽と舞踊はスリランカ文化のアイデンティティとして維持されている。現在はスリランカ政府がキャンディアン・ダンスを国を代表する文化として積極的に保護・振興している。

聴きどころ

ゲダ・バラの二面(音の高い面と低い面)が交互に、または同時に打たれるパターンを聴き分ける。最初は「どちらの面が鳴っているか」だけ追うのが入口だ。ヴァンナマと呼ばれる各演目は固有のリズムパターンを持ち、踊り手はそのパターンに対応する振り付けを持っている。

発展

1815年のキャンディ陥落後も寺院儀礼として継承され、戦後はキャンディ・ダンス・アカデミーで保存された。チットラセーナ・ダンス・カンパニーなど現代舞踊団が舞台化を進め、世界舞踊フェスティバルで上演される。

出来事

  • 5世紀: シンハラ仏教儀礼の起源。
  • 15世紀: キャンディ王国での宮廷舞踊化。
  • 1815年: キャンディ陥落、寺院継承化。
  • 1944年: チットラセーナ・ダンス・カンパニー結成。
  • 1988年: エサラ・ペラヘラのユネスコ登録議論。

派生・影響

スリランカの伝統舞踊三系(キャンディ・低地・サバラガムワ)の中核、現代スリランカ舞踊の骨格を提供する。

音楽的特徴

楽器ゲタ・ベラヤ、テモパタガラ、ヤン・ベラヤ、タンマッタマ、ホラネワ(チャルメラ)

リズム重厚な太鼓パターン、儀礼的構成、舞踊の動作との同期

代表曲

日本との関係

日本ではスリランカ音楽全般の認知が低く、キャンディアン音楽が紹介されることはほぼない。スリランカ移民コミュニティのイベントや、南アジア文化に関心を持つ一部の研究者の間で知られる程度だ。

初めて聴くなら

「ヴァンナマ・ドラミング」の演奏映像を見る。太鼓の音だけでなく、演奏者の手の動きと踊り手の動きが連動する様子が音楽の構造を視覚化してくれる。祭礼の場(エサラ・ペラヘラ)の録音は夜の屋外の空気感があり、音楽の本来の用途が伝わる。

豆知識

エサラ・ペラヘラはキャンディの仏歯寺(ダラダー・マーリガーワ)で行われる年一回の大祭で、象の行列と松明、太鼓の演奏が夜のキャンディの街を練り歩く。この祭の太鼓演奏は数週間かけて技術を習得した専門奏者によって行われる。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1500年代1850年代キャンディアン音楽キャンディアン音楽バイラバイラ凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
キャンディアン音楽を中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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