ラテン・カリブ

クルラオ

Currulao

コロンビア/エクアドル / アンデス · 1700年〜

コロンビア・エクアドル太平洋沿岸のアフロ系コミュニティが保持する、マリンバ(木琴)とコール・レスポンスを核とした祭礼音楽。

どんな音か

クルラオの音は、熱帯雨林の湿度と、アフリカ系民族の身体的躍動の融合である。マリンバ(木製の水平鍵盤打楽器)が主旋律を奏で、テンポはBPM80〜120で、2/4と6/8が混在する。マリンバの奏者は2本の撥で複雑なパターンを奏で、その上で男女の歌唱グループがコール・レスポンス形式で応答する。太鼓(クンビア太鼓)がポリリズムを支え、シンバルやカウベルがアクセント音を入れる。音色は『樹の根っこから立ち上る』ような低音感があり、同時に『明るい高音』が空に突き抜ける。リズムは『ぐらぐら』した不安定性を持ち、完全なシンコペーションが『意図的に』避けられている。

生まれた背景

クルラオコロンビア・エクアドル太平洋沿岸のアフロ系住民(奴隷制度の継承者)が発展させた音楽で、17〜18世紀の奴隷貿易から続く、アフリカ・スペイン・先住民の三重融合音楽である。植民地時代から地元コミュニティの祝い・葬式の音楽として位置づけられ、20世紀にはコロンビア・エクアドルの『民族文化象徴』として公式化された。1980年代以降、アフロ・ディアスポラ文化の『再発見』ブームに乗って、国際的認知度が上昇した。

聴きどころ

マリンバの『木の共鳴感』。各撥が独立したリズムラインを持つ『ポリメトリック』な複雑性。コール・レスポンスの『非完全な同期』(返答が『遅れて』入ることで生まれる『時間的厚み』)。太鼓のポリリズムが楽器群全体とどう『衝突』するか。

発展

1990年代以降ペレグリーノ・ディオセス、グルーポ・カナルテ、エクアドルのオセアン・マルティネスが商業録音化し、2010年代にはチョンタドゥロ・ジャズなど現代化が進んだ。2010年にユネスコ無形文化遺産候補リスト入り。

出来事

  • 1851: コロンビア奴隷解放
  • 1991: 新憲法でアフロ系認知
  • 2010: ユネスコ候補リスト
  • 2015: ボゴタ・カリ・現代化フェス

派生・影響

アフリカ系木琴伝統、コロンビア・ジャズ、現代世界音楽と交差。

音楽的特徴

楽器マリンバ・デ・チョンタ、ボンボ、クナ、ギャサ、女性合唱

リズム高速6/8、輪舞、女性主導合唱

日本との関係

クルラオはラテン音楽・アフロ系音楽愛好者の間では若干の認知度があるが、日本の大衆文化では限定的。アフロ・カリブ音楽研究の一部で言及される程度。

初めて聴くなら

コロンビア太平洋沿岸コミュニティの『祭りのクルラオ』現地録音。YouTubeで『クルラオ music from コロンビア』と検索すると複数ヒットする。夜間に、熱帯の湿度が感じられる環境で聴くと、アフロ系沿岸文化の空気感が伝わる。

豆知識

マリンバはメソアメリカ合衆国の先住民由来の楽器とアフリカのシロフォン伝統が融合したもので、中米諸国とコロンビア・エクアドルでのみ高い文化的地位を保っている。クルラオコロンビアの『アフロ・パシフィック文化の中核』として保護され、地元コミュニティの若者向けマリンバ教育がユネスコ支援で行われている。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1700年代1850年代クルラオクルラオクンビアクンビア凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
クルラオを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

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