伝統・民族

チャールダーシュ

Csárdás

ハンガリー / 東ヨーロッパ · 1830年〜

ハンガリーの2拍子加速舞踏曲。

どんな音か

チャールダーシュは、ハンガリーの酒場や村の踊りに由来する2拍子の舞曲。ゆっくりしたラッサンで始まり、速いフリスへ加速する構成が典型で、ヴァイオリンの装飾、足を踏み鳴らすリズム、情熱的なテンポ変化が魅力である。ロマ楽師の演奏文化とも深く関わり、民俗舞踊とヴィルトゥオーゾ音楽の両方で知られる。

生まれた背景

19世紀のハンガリーで、民族的な舞曲として広まり、都市のカフェや舞台でも演奏された。ロマ楽師たちはチャールダーシュの表現を洗練させ、ハンガリー音楽のイメージ形成に大きく関わった。Vittorio Montiの「チャールダーシュ」はクラシック小品として世界的に有名になり、民俗舞曲の名を広めた。

聴きどころ

遅い部分と速い部分の落差を楽しむ。ラッサンではため息のような節回しやルバートがあり、フリスでは一気に足が動き出す。ヴァイオリンは泣くように始まり、最後には火花を散らすように走る。単なる速弾き曲として聴くより、踊り手と楽師が互いに煽り合う構造を意識するとよい。

発展

Liszt、Brahms、J.Straussら作曲家が舞台音楽に採用。Vittorio MontiのCsárdás(1904)が世界的スタンダードに。20世紀後半のTáncházムーブメントで再評価。

出来事

  • 1830s: Verbunkosから派生
  • 1846: Liszt『ハンガリー狂詩曲』
  • 1904: Monti『Csárdás』
  • 1972: Táncház運動開始

派生・影響

Verbunkosからの派生。Cigányzeneと不可分。

音楽的特徴

楽器ヴァイオリン、ツィンバロム、ヴィオラ、コントラバス、クラリネット

リズム2/4でLassú(緩)からFriss(急)へ加速する構造

代表アーティスト

  • Vittorio Montiイタリア · 1880年〜1922
  • Muzsikásハンガリー · 1973年〜
  • Roby Lakatosハンガリー · 1985年〜

代表曲

日本との関係

日本ではMontiの「チャールダーシュ」がヴァイオリン名曲として広く知られ、発表会やアンコールで演奏される。ハンガリー民俗音楽やロマ楽師の背景まで意識されることは少ないが、MuzsikásやRoby Lakatosを聴くと、舞台小品の背後にある濃い演奏文化が見えてくる。

初めて聴くなら

入口は「チャールダーシュ — Vittorio Monti (1904)」。遅い導入から急速な終結へ向かう典型が分かる。よりロマ的な華やかさを聴くなら「Hejre Kati — Roby Lakatos (1998)」、民俗的な響きを知るならMuzsikásの録音へ進むとよい。

豆知識

チャールダーシュという名は、ハンガリー語の酒場、宿屋を意味するcsárdaに由来する。宮廷の整った舞曲ではなく、人々が集まる場の踊りとしての性格が名前に残っている。舞台で洗練されても、根には社交と熱狂がある。

影響・派生で結ばれたジャンル

ジャンル関係図1760年代1830年代1850年代チャールダーシュチャールダーシュヴェルブンコシュヴェルブンコシュチガーニ・ゼネチガーニ・ゼネ凡例派生影響同系統
凡例
派生影響同系統
チャールダーシュを中心とした近傍図。中心と直接結ばれるエッジが強調表示されます。

チャールダーシュ の系譜全体図(多段)を見る

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