伝統・民族

バンブーコ

Bambuco

コロンビア / アンデス · 1820年〜

コロンビア・アンデス山脈中部の国民舞踊で、ティプレ・ギターラ・バンドラ三重奏が奏でる抒情的6/8拍子の歌曲。

どんな音か

バンブーコの音は、アンデス高地の薄い空気と、スペイン系農民のロマンティシズムが結合した音色である。ティプレ(小型12弦ギター)が高い音域で輪郭あるメロディーを奏で、ギターラ(中型6弦ギター)が中音域で和声的な役割を果たし、バンドラ(大型12弦楽琵琶)が低音で全体を支える。リズムは6/8拍子で、『タカタン、タカタン』という三連符の軽いビート感が特徴。テンポはBPM100〜120で、比較的遅く、瞑想的。歌唱は比較的落ち着いた声質で、スペイン系の詩情が表現される。音色全体は『明るさ』と『哀愁』の同時存在で、晴れた朝でもどこか影がある。

生まれた背景

バンブーココロンビア・アンデス中部(とくにクンディナマルカ州)の19世紀初頭に発生し、スペイン植民地音楽とコロンビア先住民音楽が融合した国民音楽として確立された。19〜20世紀を通じて、コロンビア知識階級とナショナル・アイデンティティの象徴とされ、学校教育にも組み込まれた。1970〜1980年代の『ラテン音楽ブーム』では、フォルクローレ・ムーブメントの一部として国際的に紹介されるようになった。

聴きどころ

ティプレの『クリスタルな音色』と、バンドラの『暖かい低音』のコントラスト。6/8拍子の『スウィング感』(完全にシンコペーションするか、完全に直線的か)。歌唱がギター三重奏とどの程度『シンクロ』するか。楽器編成の『シンプルさ』が深い音響空間をいかに作り出すか。

発展

20世紀の作曲家ペドロ・モラレス・ピノ、ホセ・エリアス・ポサドが芸術歌曲化を進め、ガルソン・イ・コリャソ二重奏が大衆化した。21世紀には現代ジャズ作曲家アントニオ・アルナイスらが復興運動を行う。

出来事

  • 1850s: 独立後の国民音楽論争
  • 1886: 憲法制定と国民音楽化
  • 1950: ガルソン・イ・コリャソ全盛
  • 2010: バンブーコ・フェスティバル

派生・影響

パシージョ、トルベリーノ、現代コロンビア・ジャズと交差。

音楽的特徴

楽器ティプレ、バンドラ、ギターラ、声

リズム中速6/8、ヘミオラ、抒情詩

日本との関係

バンブーコはラテン音楽愛好者の間では若干の認知度があるが、日本の大衆文化では限定的。スペイン音楽やコロンビア文化に関心のある愛好家層で知られている程度。

初めて聴くなら

コロンビアの伝統的バンブーコ音源、またはより洗練された編成版。初心者向けには、ギター三重奏の『シンプル版』から入ることを勧める。昼間に、山並みが見える環境で聴くと、アンデス高地の雰囲気が最も伝わる。

豆知識

バンブーコは『バンブコ・フィエステロ』(祭り版、速い)と『バンブーコ・プロフェシオナル』(古典版、遅い)に分類される。ティプレはコロンビア製弦楽器の代表で、木材選択が音色を大きく左右することで知られ、職人の間で『音響美学』が発展している。バンブーココロンビア建国初期(1800年代)から国民音楽として機能し、政治的な『ナショナル・アイデンティティ獲得手段』としても利用された。

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