House
ディスコが死んだとされたあと、1980年代シカゴで、黒人とゲイが集うクラブから生まれた新しいダンスミュージック。四つ打ちのキックと、ディスコから受け継いだ歌声、ピアノのコードでできている。
What it sounds like
ハウスの主な要素は次の通り。BPM120〜128の四つ打ちキック、短いフレーズ(1〜2小節)を繰り返すベースのループ、ピアノとシンセのコード、ソウル/ディスコ/ファンクから取り込んだ音のかけら、そして女性ヴォーカルである。これらが四つ打ちの上で組み合わさる。ヴォーカルの幅は広く、短い言葉を語りかけるように繰り返すものから、歌い上げる本格的な歌唱までさまざまだ。テクノほど無機質ではなく、ディスコほど生楽器に頼らない。その中間で、機械音にも人肌のぬくもりが残る。曲の長さは5〜8分と長めで、DJがつなぎやすいようにできている。枝分かれが細かく、ディープ・ハウス(丸く深いベース)、テック・ハウス(テクノ寄りの硬さ)、ガラージ・ハウス(ソウルフルな歌もの)と、同じ四つ打ちの上で音色だけが入れ替わっていく。
The signature rhythm pattern of this genre. Press play to loop it, and follow the score below to see which beat is sounding.
How it came about
1980年代前半、米国シカゴ。NYのContinental BathsなどでプレイしたDJ Frankie Knucklesがシカゴに移り、Warehouse(ウェアハウス。のちにPower Plant)というクラブで新しいサウンドを試した。もう一人の立役者がMusic BoxのRon Hardyで、この二人がシカゴのクラブシーンを牽引した。1970年代末にディスコ人気が急速に冷え込んだあと、その流れをくむ地下のクラブシーンで、初期はディスコやソウルのレコードを再編集してフロアを温めるところから始まった。やがてJesse SaundersやLarry Heard、Marshall Jeffersonら作り手が、TR-808などのドラムマシンとシンセサイザーだけで一から曲を組み上げるようになり、要素を切り詰めたダンスミュージックとして確立する。初期作はDJ InternationalやTraxといったシカゴのレーベルから世に出た。1986年リリースのSteve Silk Hurley『Jack Your Body』は、1987年1月にハウスとして初めて英国シングルチャート1位を獲得。これを機に英国マンチェスター(クラブ「ハシエンダ」)へ伝播し、レイヴ/アシッド・ハウス・ブームへと発展した。同じドラムマシンから、都市ごとに音が分かれていく。1990年代にはニューヨークのMasters at Work(生楽器を大胆に混ぜる二人組)、パリのDaft Punkやレコードを刻んで組み直すDimitri from Parisが、それぞれの“訛り”(土地ごとの個性)を確立した。
What to listen for
まずキックに耳を合わせたい。同じ音が休まず鳴り続ける、その単調さこそが推進力になる。次にキックの音色(808か、909か、後発のサンプル系か)とベースの噛み合い、そして取り込んだ(サンプリングした)声・ピアノ・ホーンが、どのタイミングで現れ、どこで消えるか。フィルターの開け閉めでベースの明るさが刻々と変わるのも聴きどころだ。さらに、DJが2曲を長く重ね合わせていく「ロング・ブレンド」という手法の心地よさも味わいたい。
If you only hear one thing
まず聴くなら次の曲。起点はFrankie Knuckles『Your Love』(1987、Jamie Principleとの共作。原型の録音は数年前からクラブで流通していた)。深さを知るならLarry Heard『Can You Feel It』(1986、Mr. Fingers名義)、声の艶なら誰もがどこかで耳にしたあのフックを持つRobin S『Show Me Love』(1993)、現在につながる一曲なら、ポップの顔をしたハウスとしてDisclosure『Latch』(2012、Sam Smith参加)。
Trivia
「House」はクラブWarehouse(ウェアハウス)に由来する——この点では諸説が一致するが、語が短縮された経緯には複数の説がある。有力な説では、シカゴのレコード店「Importes Etc.」が、Warehouseで人気の曲だと客に分かるようまとめて棚に並べて売っていたのが始まりとされ、それが後に「House music」へと縮まったという。
Notable artists
- Frankie Knuckles
- Joe Smooth
- Larry Heard
- Marshall Jefferson
- Daft Punk
- Honey Dijon
- Purple Disco Machine
- Fred Again..
- Peggy Gou
Notable tracks
- Larry Heard — Can You Feel It (Mr. Fingers) (1986)
- Marshall Jefferson — Move Your Body (1986)
- Joe Smooth — Promised Land (1987)
- Frankie Knuckles — Your Love (1987)
- Marshall Jefferson — Can You Feel It (1986)
Later notable tracks
- Honey Dijon — Not About You (2017)
- Peggy Gou — It Makes You Forget (Itgehane) (2018)
- Purple Disco Machine — Hypnotized (2020)
- Fred Again.. — Marea (We've Lost Dancing) (2021)
