三線音楽
三線を主体に発達した琉球王国の古典宮廷音楽で、独特の音階体系と装飾奏法を持つ、日本伝統音楽の中でも特異な領域。
どんな音か
生まれた背景
三線はルーツを琉球王国(1429〜1879年)に持ち、中国本土の三弦の影響を受けながらも、沖縄の竹材工法や装飾奏法が独自に発展させたもの。琉球王朝の宮廷では雅楽の一部として位置づけられ、士族の教養の一つとされた。廃藩置県後の1879年の琉球併合によって、本土の三味線文化と異なる道を歩み始め、沖縄戦後は民族アイデンティティの象徴として再評価された。
聴きどころ
爪による弾弦の『音色の厚さ』。単なる音の高さではなく、各弾奏がどの部位の爪で、どの角度で行われているかで、音響が微妙に変化することを聴き分ける。フレーズの終末における音の『消え方』。スライド奏法がいかに自然に、あるいは劇的に入るか。
発展
明治の琉球処分後も士族の家学として継承され、20世紀には組踊・琉球舞踊の伴奏として舞台化された。戦後、沖縄県無形文化財・国指定重要無形文化財に指定され、宮里春行・島袋正雄ら名手が継承を担った。
出来事
- 1392年: 三十六姓渡来による三弦伝来。
- 1623年: 湛水親方による湛水流創始(伝)。
- 1879年: 琉球処分後も家学継承。
- 2010年: 組踊がユネスコ無形文化遺産登録(三線音楽が伴奏)。
- 2018年: 沖縄県指定無形文化財拡充。
派生・影響
琉球民謡・組踊・琉球舞踊の音楽的基盤を提供し、奄美三線・沖縄ポップへの基礎ともなった。
音楽的特徴
楽器三線、箏、胡弓、笛、太鼓、声
リズム琉球音階、ゆったりした宮廷節、工工四(楽譜)に従う厳格な節
代表曲
- かぎやで風節
日本との関係
初めて聴くなら
『かぎやで風節』(鍵屋での風の歌)。三線音楽の代表曲で、三線の単独演奏では最高峰とされる。静かな夜間に、目を閉じて聴くと、琉球王国の宮廷で歌われた音景が蘇る。
豆知識
三線の琴板(共鳴胴)は本来、馬や牛の皮を張ったもので、現在も伝統的な製法では皮製である。20世紀中盤から化学皮を使用した三線も普及し、音色の『本物性』をめぐって奏者間に議論がある。琉球王国時代の古い譜面は漢字で記され、現在の三線古典譜面も漢字を混ぜた特殊な記譜法が使われている。
影響・派生で結ばれたジャンル
同じ時期・同じ地域で生まれた他のジャンル
- 古典狂言
